・第一話

・第二話

・第三話

・第四話

・第五話

・第六話

・第七話


※クリックして夢に近づけてから今日の第八話を読んでね。


よろしくだぜよ!→人気ブログランキング投票


----------



~第八話~




「あ、ビーケン?おせーよ。あ?うん。あのさぁ、また焼いて欲しいもんがあるんだけど。ああ。マズい系」




信永が「また」と言ったのには訳がある。




実は、ビーケンに『マズい系』の物を焼いてもらうのはこれが初めてではなかった。




「ああ、じゃあこれから行くわ」信永はそう言って電話を切った。




ビーケンとの話がうまくまとまったようだった。




信永はタバコを咥え直して、目で「火を貸せ」と催促してきた。




俺は自分のライターを信永に投げ渡した。




信永はタバコに火をつけるとライターを自分のポケットにしまった。




「コラ。パクってんじゃねーよ」




「いいじゃん別に」




「うるせぇ。返せ早く」




見た目はただの百円ライターだったが、俺にとっては少々ワケありの物だった。




俺が手を出して催促すると、信永は不思議そうな顔をして俺にライターを戻した。




信永からしたら、物に無頓着な俺がライター程度に執着しているのがよく理解できなかったようだ。




「さ、行くか」信永が言った。




やる事が増えたので、急がなければなからなかった。




まずはビーケンの工場へ行って耳を処分してもらう。




そして、人助けの依頼をしてきた女と会う。




待ち合わせまで三十分もない。




それまでに耳を処分して、喫茶店ロッカーズカフェに戻らなければならない。




「時間ねーからさ、お前が耳持ってけよ、シン」




「おめーが持ってけよ」




二手に分かれてそれぞれをこなそうと思ったが、お互いに耳を一人で運ぶのは気が乗らなかった。




「揉めてる時間ねぇな…。行くぞコラ」俺が言った。




信永は耳が入った小箱をコンビニの袋に入れた。




そして信永は静かに玄関のドアを開け、辺りを見回した。




「誰もいねぇよ。時間ねーって言ってんだろ。早く行くぞ」




俺はボロボロのスクーター、信永は松田優作に憧れて買ったベスパにまたがり、ビーケンの工場へと向かった。


井口達也



※軍団井口で意地でも扉を貫く!


一発クリック頼む!→人気ブログランキング投票




登場人物



井口達也(信永から仕事を貰っている暇人)

上布田信永(通称:シン。何でも屋の若社長)

諸星謙太(通称:ビーケン。スクラップ工場の息子)


---以下作品集---


チキン/リトル・モア

¥1,575

Amazon.co.jp

チキン 第二部 狛江愚連隊篇/リトル・モア
¥1,500
Amazon.co.jp
チキン「ドロップ」前夜の物語 1 (少年チャンピオン・コミックス)/秋田書店
¥440
Amazon.co.jp
OUT 1 (ヤングチャンピオンコミックス)/秋田書店
¥560
Amazon.co.jp
アウト 不良の流儀/ミリオン出版
¥1,260
Amazon.co.jp
OUT 4 (ヤングチャンピオンコミックス)/秋田書店
¥560
Amazon.co.jp


※最後まで見てくれてありがとうございます。

押してもらえたら力になります→人気ブログランキング投票