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~第五話~
「助けて…ください」
絞り出すような声だった。
「は?」
一瞬イタズラ電話なのかとも思ったが、切られた耳が目の前にある状況では、俺も頭の整理が上手くつかなかった。
「だからさ、まず君は誰?」
「すいません…」
女はすいませんとしか言わなかった。
「君さ、何処に電話かけてるか分かってる?」
「はい…上布田(かみふだ)さんの事務所ですよね」
上布田は信永の苗字だ。
上布田信永(かみふだしんえい)という。
「知ってんだ?何の用?」
「あの…助けて欲しい人がいるんです」
俺は何でも屋の信永から仕事をもらったり手伝ったりして食っていたが、さすがに人を助けて欲しいという依頼はこれまでに記憶が無かった。
俺は受話器の口を手で覆い、信永に話しかけた。
「客だよシン。人助けて欲しいんだとよ」
「はぁ?今そんな事してる場合じゃねぇだろ。この耳どうすんだよマジで…」
俺はまた受話器に向かって話し始めた。
「えっと、名前は…言いたくないんだっけな。まぁいいや。誰助けて欲しいわけよ」
俺がそう言うと、信永は離れた所から「コラ!」と大袈裟にリアクションをした。
「彼氏なんですけど…さらわれてしまって…」
「さらわれた?随分物騒な話だな。警察に行けばいいだろ」
女からの返事はなかった。
警察に言えない事情があるから信永の事務所に電話をかけてきたのだろう。
「まぁいいや。どこの誰を助けて欲しいのよ。たけーぞ。うちは」
「あの…詳しく話したいので上布田さんと一度会えますか」
「なるほどね。ちょっと待って」
俺はそう言ってまた信永に話しかけた。
「一度おめーと会って相談したいんだとよ。どうする?」
信永は首を横に振った。
俺はまた受話器に向かって言った。
「分かった。じゃあ一度話しを聞くよ。三丁目のロッカーズカフェ分かる?」
ロッカーズカフェは俺達が仕事の打ち合わせでよく使う喫茶店だ。
ロッカーズなんて名前がついてはいるが、演歌好きのマスターが経営している。
「はい」
「そこにこれから来れる?」
「はい」
事務所にいても埒が明かないし、耳が誰のものかも分からない。
人の耳がおかれた事務所に長くいたくもないので、外に出るきっかけが欲しかった。
シリアスな状況は好きではなかった。
「じゃあ、30分後にそこで。ハットに丸いサングラスが信永だから。声かけな」
「分かりました…では30分後に」
そう言うと女は電話を切った。
井口達也
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登場人物
井口達也(信永から仕事を貰っている暇人)
上布田信永(何でも屋の若社長)
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