「わりーかよ」

「誰もそんな事言ってねーよ」

谷津先生は
俺と広斗の顔を見て、

「なんだぁ!お友達だったのね。
広斗君、今日から来ることになった
達也君と秀樹君よ。
仲良くしてね」

親父はニヤっと笑っていた。

上手く俺を
学童保育に入れられそうな
気がしたんだろう。

「よし!じゃあ晩飯までには達也も秀樹も帰れよ」

そう言って谷津先生に
会釈をして帰っていった。

「じゃあ広斗君、達也君と秀樹君をよろしくね」

そう言って居なくなった。
不機嫌そうな顔をした広斗が
口を開いた。

「来るなら言えよ達也…」

「広斗がここに居るなんて知らねーし」

「恥ずかしいとこ見られちまったじゃん」

「恥ずかしくねーよ。俺も歳関係なく遊んでくれる人知ってるし」

「はぁ…」

「カッコイイと思うよ」

「マジ?」

「マジ」

俺は自分で言いながら思った。
アカシや広斗は
分け隔て無く人に接する。

俺は勝手に壁を作って、
その壁を越えようとしていなかった。

頭では分かっているし、
人には言えるのに
実際に出来ていない自分が
逆に恥ずかしかった。

「広斗毎日来てんの?」

「毎日って訳じゃねーけど…」

俺は決めた。

「俺もここ来るからよぉ、遊ぼうぜ」

「ヒョー!」

この日から
俺の放課後のスケジュールに
学童保育が加わった。

アカシのお見舞い、
空手道場、
学童保育。

悪さをする時間は減ったが、
同時に元からする気も無い
勉強の時間は完全にゼロになっていた。

お見舞いに広斗を連れて行ったら
アカシも喜んでいた。

そして退院後は
広斗もアカシ達の輪に加わった。

年下の子供達と遊ぶのに
初めは抵抗があったが、
心を開けば
心で返してくれるのが嬉しかったし、
頼られる事での責任感や、
大変さもこの時初めて学んだ気がする。

そして時は流れ、
もうすぐ4年生になるという春休みに、
俺は生まれて初めてラブレターを貰う事になる。

へ続く