一瞬固まったが、
美咲は特に変わった様子も無く
笑顔のままだったので
俺は何も言わずに
写真をテレビの脇に置いた。
「よーし!達也ぁ!食うぞ!座れ!」
触れちゃいけない事だったのかなと思いつつ、
言われるがままに俺は座った。
「いただきまーす!」
「おう!遠慮すんな!」
一口ずるずると食べた。
「うまい」
「だろ?」
「チャルメラ?」
「とーぜん」
ラーメンには
色んな物が乗っていた。
ほうれん草、
刻んだネギ、
分厚く切られた焼き豚。
「美咲料理できるんだね」
「バーカ、俺より女っぽい女がいるかよ」
「…」
「無視すんなよ(笑)」
「まじでうまい」
「チャルメラを下手に作る方が難しいっつーの(笑)」
美咲は俺が食べるのを
笑顔で見守っていた。
「食わねーの?」
「作ってる間に腹いっぱいになっちまったよ」
そういうと
俺に自分の器を差し出し、
タバコに火をつけた。
「達也ぁ、さっきも言ったけどよぉ、あの写真俺の彼氏なんだよ」
俺は食べながらうなずいた。
「去年死んでしまったんだよ。事故でな」
「そうなんだ…」
「誰よりも男らしくてよぉ、優しい男だったよ」
「事故か…」
「仲間逃がす為にパトカーと追いかけっこ。最後は人をよけて対向車と衝突」
「…」
「即死だった」
「愚連隊だったの?」
「愚連隊も何も、初代総長だよ」
次回
へ続く