初めての方プロローグからどうぞ


「日向ぁ、てめー
俺とタイマン張るのが
こえーのかぁ!?」


そう言われると

西中のやつらは
蜂の巣をつついたように
騒ぎ始めた。


「なんだコラぁ!?△◆※#■△◆※#■!」


それを制すように
日向が口を開いた。


「沼田ぁ、おめーバカか?
この人数相手に
ビビったんじゃねーのか?(笑)」


「ビビってんのは
てめーだろうが日向ぁ!?」


「あ!?」


「俺一人ヤんのに
どんだけ集めてんだよ(笑)」


「沼田ぁ、てめー程度に
わざわざ俺が出るまでもねーんだよ」


「てめーは裸の大将だよ日向」


「なんだとコラ?」


「よー、てめーら!
てめーらんとこの大将は
怖くて俺と喧嘩できねーってよ!」


そうアカシが言うと、
西中の奴が一人前に出た。


「日向さん、俺にやらせてください」


「沖浦ぁ」


「日向さん、沼田とやらせてください」


「沖浦ぁ、
お前はウチの2年の
統括だろーが。
お前が出るまでもねーよ」


この沖浦という男、
背はアカシと同じ位だった。


小太りにパンチパーマ、
剃り込みが入っていた。


「わーったよ。
おめーと沼田はタメだしな。
ここで力の差ハッキリ見せ付けとけや」


「ウス」


「そーいう事だからよぉ、
沼田ぁ!
沖浦がてめーをヤった後は
おまけの二人も
皆でボコってやっからよぉ、
心配しねーでおネンネしてな!」


日向は
タバコに火をつけて
後ろに下がっていった。


そして沖浦が前にやってきた。


アカシと対峙したところを見ると、
この沖浦という男の
身体の大きさが際立った。


離れている
俺達から見ても
沖浦は厚い壁のように見えた。



アカシは少し
苛立っているように見えた。


アカシには
喧嘩の時はそのトップをブッ叩くのが
一番手っ取り早いと言われていた。


その作戦が
失敗したので苛立っているのだろう。


「沖浦ぁ、てめー程度で
2年のトップかよ(笑)」


「沼田ぁ、てめーも
コレもんにしてやっからよ」


そういうと沖浦は自分の前歯を掴んで外して見せた。


ニヤっと笑った顔に
前歯は無かった。


「沖浦ぁ、カルシウム足りねーんじゃねーかぁ(笑)?」


「なんだとコラァ!?」


「いいからよー、
早くそれ元に戻せよ。
ブタは口喧嘩専門か?」


沖浦は後ろを振り向いて、


「日向さん、
こいつヤっちゃいますから」


それと同時に日向が叫んだ。


「バカヤロウ!沖浦!前!」


アカシの方に
振り返った沖浦の視界には、
アカシの拳しか映ってなかっただろう。


「ベキっ!!!」


という鈍い音と共に、
壁のような沖浦の身体は


殴られた方向に一回転し、
腹ばいになって地面に叩きつけられた。


次回
五本松の決闘(4)
へ続く