初めての方プロローグからどうぞ


そこにはアカシと信男、
それと、
今俺達の
目の前の奴等と同じ制服をきた
人間を肩に担いだ
こてっちゃんだった。


アカシ達が
目に入った瞬間、
俺は、
恐怖に支配され


冷たくなっていた血液が
一気に沸騰するかのような
感情を味わった。



そして怖かった気持ちは、
アカシの登場と共に
俺の腹の底に沈んでいった。


俺達の
目の前にいる奴等は
急に静かになった。


吸っていたタバコを
踏み消す者。


上着を脱ぎ捨てる者。


指の骨を鳴らす者。


それぞれが
喧嘩の準備を始めたようだった。



そして全員が
アカシ達を睨み付けていた。


俺は今だと思った。


近づくなら今しか無い!

そう思って
ワン公の腕を掴み、
低姿勢のまま一気に走った。


ワン公は
一瞬ためらったようだったが、
一度出てしまったからには
もう行くしかなかった。


なんとかお互い
別々の木の裏に辿り着き、
二人で目を合わせた。


ワン公は声は発しなかったが、


「バカヤロウ!」


と言っているのが
口の動きで分かった。


すぐさま俺達は
身を隠しながら
バレていないか確かめる為に
顔を少しだけ出してみた。


「!!!!!」


俺は
こてっちゃんと
目が合ってしまった…


予想以上に
近くまで
アカシ達が来ていた。


こてっちゃんは
一瞬目を見開いて
びっくりした様子だったが、

まるで
何事も無かったように
俺に
裏に隠れてろと
目を横に振った。


「あー!おもいーー!」


その場を
誤魔化すかのように
こてっちゃんは
大きな声を出して
担いでた奴をその場に置いた。


それに続くかのように
アカシが口を開いた。


「はいこれ人質君。返すよー」


そういうと
たむろしていた
中の一人が


「てめぇ沼田ぁ!
ナメてんのかコラァ!?」


と凄んだ。


こいつは
180センチはある
大きな男だった。



「ナメてんのは
そっちだろ日向ぁ!?」


アカシがそう言ったので
この大男が
日向だと分かった。


頭は坊主で、
頬から唇を通り、
顎まで切り傷の跡がある男だった。


「日向さん、
こいつまた
ボコっちゃいましょうよ」


誰かが言った。


「そーだな。
沼田はバカだからよぉ、
全殺しじゃねーと
ゾンビみてーに
つきまとってくっからよぉ」


日向がそう答えると、
周りにいた奴等は
キャハハハと
アカシをバカにしたような笑い方をした。


俺はまた
ジャングルジムの事を
思い出した。


そして
バカはお前だと
心の中で思った。


アカシ!
早くこいつを
ブッ飛ばしてくれ!


そう思ってたら
アカシが
タバコを咥えながら口を開いた。



「日向ぁ、てめー俺とタイマン張るのこえーのかぁ!?」


次回
五本松の決闘(3)
へ続く