俺とワン公は
顔を見合わせてニヤリとした。
アカシにゲーセンに呼び出された日を思い出した。
あの時は
ゲーセンに行ったら
アカシ達の喧嘩はもう終っていた。
たった3人で
10人程を返り討ちにした
アカシ達の喧嘩が見られると思うと、
嬉しくてしょうがなかった。
今回はこの目で見られる…
こてっちゃんには
2時間後に来い
と言われたが、
既に待ちきれなくなっていた。
何もやる事がないので、
部屋に取り残された俺達は
少し無機質なアカシの部屋を見渡していた。
相変わらず
本棚には参考書が並んでいた。
何気ない気持ちで
一冊手に取って開いてみたが、
中はビッシリと書き込みがしてあった。
隣の参考書も取って開いてみた。
これも余白が埋まる位に
計算の跡や、
書き込みがしてあった。
隣も、その隣も同じだった。
疑っていたわけではないが、
確かな確信がなかった俺達は
これで確信できた。
アカシが本気で全てを掴もうとしてるって事が。
「なぁ達也」
「ん?」
「すげーな」
「ああ。すげー」
俺達は
アカシの部屋に落ちていたタバコから
一本拝借し、
一吸いずつ深く吸った。
美味いか不味いかなんて
分からなかったが、
俺達は少しアカシの力を得た気がした。
「なぁ達也、俺達もよ、
俺がやられた日に喧嘩しに行ったじゃん?」
「行ったなー」
「俺よ、
あん時ボロクソにやられたけどよぉ、
行ってよかったって思ってるよ」
「俺も思ってるよ」
「あん時行かなかったら多分後悔したと思う」
「俺もそうだよ」
「行ったおかげでアカシさん達にも会えたし。
あん時はついてきてくれてありがとな」
少し照れくさかったので
また一吸いタバコを吸って誤魔化した。
「達也、もう2時間経ったかな」
「まだ5分しか経ってねーよ」
「行っちゃおーぜ?」
「…行っちゃう?」
「ヒョーーー!」

お互いその言葉を待っていたかのように
アカシの家を飛び出した。

今日の喧嘩は今日の内に3  
へ続く