「アカシ、怪我大丈夫なん?」

今更だが聞いてみた。

どこからどう見ても
大丈夫な状態じゃ無いこと位
分かっているが、
俺達の中のアイドルが
ボロボロになってる姿を見ると、
俺達までやられた気がしてならなかった。

「大丈夫だよ。秀樹、
台所にカップヌードルの箱があっからよ、
全部持ってきてくんーかな、わりぃ」

ワン公はアカシに頼まれごとをされると
妙に嬉しそうだった。

台所からワン公の声が聞こえた。

「アカシさーん!5箱あるんスけど!」

「まだ5箱もあるんのかよ(笑)
おーし!持てるだけもってこーい!」

ワン公が3箱抱えて持ってきた。

「これどーするんスか?」

「達也、秀樹、全部やるからよ、持って帰れ」

「アカシさん、まじっスか?」

「いやー、
信男が大量に借りてきちゃったもんだからよ、
食べ切れないんだわ(笑)」

話を聞くと元々20箱位あったらしい…。
信男はアカシの家に遊びに来る度に
いろんところから
「借り物」をしてくるのが日課だった。
食っても食っても一向に減らないので、
欲しい人には箱ごとあげてるとの事だった。

だったら最初からそんなに盗むなって話だが…

そう言おうと信男に目をやると、
自慢げにタバコをふかし、

「俺に借りれないものは無い」

そういって俺達にブイサインし、
満面の笑みを作った。

「信男さん、まるでルパンっスね!」

ワン公がそう言うと、

「秀樹、
俺あんなにサル顔じゃねーぞ」

そう言って楽しそうに箱をあけてみんなに配った。

「よし、達也、秀樹、食え!」

アカシが全員のカップヌードルにお湯を入れてくれた。

3分待つ間、
アカシは顔中に絆創膏を貼り、
擦り切れた部分には赤チンを塗ってた。

「うーーー!しみるーーー!
あー…
段々ムカついてきた…
あんにゃろうども…」

◆第11話-腹が減っては戦は出来ぬ(2) へ続く