「アンタ!何なのその頭!」

「いいじゃん」

「※!△?◆!!◇!※!△?◆!!◇!」

ものすごい見幕で
母ちゃんに怒られた。

親父は赤髪になった俺を見て

「あちゃー、派手だなおい」
としか言わなかった。

今思うと親父は
嘘とズルい事をしたら
言葉より先に
ゲンコツで俺を叱ってくれたが、
それ以外は
やりたいようにやらせてくれた。

母ちゃんは
呆れて先に寝てしまった。

俺は明日の登校が
楽しみでしょうがなかった。

学校に行くのが楽しみなんて
良い事のように
聞こえるかもしれないが、
勉強が楽しみって事ではない。

周りの反応が楽しみだった。

遠足の前の日は
眠れないなんて話を聞くけど、
遠足より楽しみだった。

明日は始業式。
遠足じゃないけど
俺の新しいスタートには
ふさわしい日だった。

興奮して
あまり眠れなかったせいか、
朝起きたら
あんなに楽しみだった登校が
なんだか面倒くさくなっていた(笑)

それでもワン公が
迎えにきたので
一緒に学校に向かった。

小学校や中学校まで
大人しかったやつが、
高校からボンタン穿いて
不良デビューっていうのは
よくある話だったが、
俺達は髪を赤にして
小学校デビューした。


学校に着き、
ワン公と一緒に
「せーの」で教室に入った。

一気に教室中の視線を浴びた。

次の瞬間、
クラス中の女の子が

「キャー!」

ワン公と目を合わせて
ニヤっとした。

いつもは女の子の下駄箱に
ヤモリを入れたり、
虫を入れて
反応を楽しんでいたが、

その時はキャーというより
ギャーだったから、
新しい反応が返ってきて
悪戯っこ冥利につきた。

すぐに女の子が
俺達を取り囲んで
あーだこーだ聞いてきた。

ふと目を向けると
男達は白い目で見ていた。

俺は平常心を装っていたが、
内心
「おめーらに真似できるか?」
と思っていた。

嗚呼…
俺のこのエネルギー…
何故勉強に
向けられなかったのか(笑)

ワン公は
平常心を装いきれず
完全に鼻の穴が膨らんでいた。

下心のあるやつは
鼻の下が伸びるなんて言うが、
大抵のやつは
実際は嬉しさを我慢できずに
ニヤニヤと鼻の穴が膨らむ。


あー気持ち悪い。


ワン公、気持ち悪かった(笑)


そうこうしてる内に
ホームルームの時間になって
担任が入ってきた。