初めての方プロローグからどうぞ

俺の苛立ちはどこかに無くなっていた。

アカシは不思議な男だった。


ゲーセンで何があったのか。
歳下の俺達と本気で友達になろうとしてるのか。
その髪はなんだ。

アカシに対して聞きたい事が湧いてきた。
「ねえ」
「なんだ達也」
「ん~、やっぱいいや」
「なんだよぉ~!」
そう言いながらアカシはにこにこしながら肩を組んできた。

不思議と嫌ではなかった。
「ゲーセンで喧嘩してたん?」
「あー、あれか。そうだよ。西中のやつらだよ」
「狛江西?」
「そうだよ。信男の弟がよー、まだ小学生なのに西中のやつらにカツアゲされたん
だよ。そいつ探し出してボコ喰らわしたらよー、今度は俺が狙われてるってわけ」
「10人位いたじゃん」
「いたねー。ヤバかったよ。なぁ信男、お前の弟もたしか小3だよなぁ?」
「そーだよー。達也と同級生だな。達也は北中行くんか?」
「うん」
「じゃあうちのと一緒になるなぁ。豊っつーからよ、仲良くしてやってくれや」

運命の巡り合わせは不思議なものだ。

中学に入学するまで
豊の事はすっかり忘れていたが、
入学してすぐに豊と出会う事になる。

「そうだ、俺等釣り道具ねーじゃねーか(笑)信男、頼めるか?」
「またかよ…じゃあ先行っててよ。借りてくから。」
「わりーな!じゃあ先行ってるわ!」
信男は道を反れて居なくなった。
「信男どこいったの?」
「あー、釣り道具借りに行ったんだよ」

俺はピンときていたが敢えて聞いてみた。
「盗むんだ?」
「んーー、借りるんだよ(笑)」
アカシは俺達を惹きつける何かを持っていた。

多摩川で待っていたら信男が自転車でやってきた。
どこからか釣竿と餌と自転車を『借りて』やってきた。
それをみてこてっちゃんこと鉄矢が俺達に言った。
「真似すんなよ少年達、ガッハッハ」
「せ、説得力ないっス」
とワン公が返した。
ヤンキーと釣り。しかも小学生と。
全てがミスマッチだった。