「なぁワン公」

「なに~?」

「なんであの人等の事好きなんだ?」

「ん~。なんとなくだけど」

「なんだそれ」

「あの丸刈りの人さー、
俺を立たせる時に
『よくやった』って
言ってくれたんだよ」

「負けたのによくやったもクソもあるかよ」

「まぁいいじゃん。悪そうな人等じゃなさそうだし」

「赤髪にスキンヘッドがなんで悪そうに見えないんだよ(笑)」

「ん~…だな(笑)」

変な気分だった。
なんでまた遊びに来いなんて言われたのかは分からなかったし、
金でも取られるんじゃないかって心のどこかで思っていた。
昨日の悔しさもあるし、
なんだか複雑だった。

面倒なことは嫌いだ。
一発ぶん殴ろうと決めていた。

ゲーセンの前についたら
ワン公は窓から中を覗き込んだ。

「達也!達也!」

「なんだよ」

「見てみろよ!」

中を覗き込むと
ゲーセンの中が滅茶苦茶になっていた。

椅子はひっくり返り、
ゲーム台は列を乱し、
あっちこっちに散らばっていた。

まるで台風が通過した跡のようだった。
異様な雰囲気だった。

そしてその中に10人程倒れていた。
立ってる人間が3人。
赤髪のリーゼントのアカシだった。

少し離れたところに
昨日のスキンヘッドに、
もう一人は背が低いパンチパーマの男だった。

「達也、ヤバくねーか?」

「入ってみよーよ」

「バカ!ダメだよ!」

「いいよ。来いって言われたんだから入ろうよ」

ワン公は異様な雰囲気に飲まれてしまっていた。

「行くぞ」

俺は一人で入っていった。