初めての方プロローグからどうぞ  


窓ガラスの一件以来、俺はクラスでは完全に孤立していった。
自分から歩み寄る事が出来ない俺はまだまだチキン野郎だったって訳だ。

おかげでイジメは無くなったが、今度は孤独との戦いだった。



廊下


友達も居ない俺は放課後は決まってゲームセンターに通うか空手道場に行くかの二択の生活だった。
あの日は道場も休みだったのでゲームセンターに立ち寄ったんだ。
いつもやるインベーダーゲームに先に誰かが座っていた。

背がひょろっと高く、何やら大声で叫んでいる。


「ヒョーーーー!」
俺は「なんだこいつは?」

と思いながらもしばらく後ろから見ていた。
「やる?」
唐突に言われた俺は、

え?

としか答えられなかった。


後ろも振り向かずそいつはいきなり話しかけてきた。
「やりなよ。今どくよ」
そういってまだゲームの途中なのに強引に俺に譲った。
「早くしろよ、終わっちゃうじゃん」
言われるがままに俺は椅子に座ってゲームを始めた。


そいつが画面を覗き込むから、なんだか調子が狂ってしまいすぐにゲームオーバーになってしまった。


「ヒョーーーー!」
こいつには関わらないでおこうと思い、俺は席を立とうとした。
「もう一回やっていきなよ」
何やらカチカチと台に細工をしている。
カチャンという音がして、またゲームが始まった。
何が起きたか分からない俺は
「どうやった?」と聞いた。
「教えないよ」と満面の笑みで言われた。


面白い奴だなと思った。
「お前名前何て言うの」
「タツヤだよ。お前は」
「ヒデキだよ」
色々話していくうちにこいつは山崎秀樹という事がわかった。

後にある事件がきっかけでヒデキの事をワン公と呼ぶ事になる。


続きは・◆第4話-無意味な言葉◆