ＮＹ市場サマリーのサマリー 8/29(木)：ダウ最高値、ドル上昇、利回り上昇
＜為替＞
前日に続きドルが主要通貨に対し上昇した。第２四半期のＧＤＰ伸び率がやや上方改定されたことを受け、来月に通常よりも幅が大きい50bpの利下げが実施されるとの観測がやや後退した。
ＧＤＰ改定値の発表を受け、ドル／円は１４５．５５円と、１週間ぶりの高値を付けた。終盤の取引では０．１％高の１４４．７７円。
第２四半期のＧＤＰ改定値は年率換算で前期比３．０％増と、速報値の２．８％増から上方改定された。堅調な個人消費が堅調だったことに加え、企業利益も回復。米経済はリセッション（景気後退）入りを回避できるとの見方が強まった。
また、労働省発表の８月２４日までの１週間の新規失業保険申請件数は、前週比２０００件減の２３万１０００件。エコノミスト予想は２３万２０００件だった。
「９月に予想される利下げの幅について、これまでに発表された経済指標は、幅が50bpではなく、25bpになるとの予想に整合している」と。
＜債券＞
米金融・債券市場では、利回りが上昇した。この日発表された米ＧＤＰ改定値で経済が十分に堅調であることが示され、ＦＲＢが年内の利下げを手控える余地があることを示唆した。
第２四半期のＧＤＰ改定値は年率換算で前期比３．０％増と、速報値の２．８％増から上方改定された。堅調な個人消費が堅調だったことに加え、企業利益も回復した。
同じくこの日に発表された新規失業保険申請件数は、前週比２０００件減の２３万１０００件とエコノミスト予想（２３万２０００件）をわずかに下回った。
「ＧＤＰ改定値を受け、市場では年内利下げ観測がわずかに後退した。今後、市場は利下げの規模を見極める上で、雇用と消費に関するデータに一層注目することになるだろう」と。
１０年債利回りは２ｂｐ上昇の３．８６２％。４日連続の上昇となった。
＜株式＞
米国株式市場はダウが最高値を更新した。第２四半期のＧＤＰ伸び率が上方改定されたことを受けた。ただ、前日に決算を発表した半導体大手エヌビディアは下落して終了した。
第２四半期のＧＤＰ改定値は年率換算で前期比３．０％増と、速報値の２．８％増から上方改定された。堅調な個人消費が堅調だったことに加え、企業利益も回復。米経済はリセッション（景気後退）入りを回避できるとの観測が裏付けられた。
「支出の上方修正を伴うインフレの下方修正は経済のソフトランディング（軟着陸）の根拠になる」と。
エヌビディアは６％超下落。前日公表した第３・四半期（８─１０月）の売上高見通しが予想並みにとどまり、投資家の失望を誘った。
他の人工知能（ＡＩ）関連株はまちまちで、マイクロソフトが０．６％上昇した一方、アルファベットは０．７％安となった。
＜金先物＞
金先物相場は、米物価関連指標の発表を前に早期利下げを意識した買いが入り、３営業日ぶりに反発した。
朝方発表された米経済指標は堅調な内容。４─６月期の実質ＧＤＰ（国内総生産）改定値が個人消費の力強い伸びなどを反映し、年率換算で前期比３．０％増（速報値２．８％増）に上方修正されたほか、２４日までの週の新規失業保険申請は２３万１０００件と前週から２０００件減少した。米景気の底堅さが確認された形となり、発表後は金が売られる場面があった。
しかし、インフレ鈍化の進展や労働市場の軟化を踏まえ、米金融政策が緩和方向に転換するとの見方を支えに、その後はプラス圏に浮上。パレスチナ自治区ガザでの戦闘長期化を背景に安全資産としての需要も根強く、強地合いが継続した。
＜米原油先物＞
原油先物相場は、ＯＰＥＣ加盟国リビアの供給不安などを背景とした需給引き締まり観測が広がり、３日ぶりに反発した。
東西に分裂状態にあるリビアでは、中央銀行の幹部人事などを巡る対立が続き、油田閉鎖の動きが拡大している。ロイターは関係筋の話として、同国のサリール油田がほぼ完全に生産を停止したと報道。試算では、２９日時点で同国内では日量約７０万バレルの石油供給が止まったという。これは同国の７月の産油量（同約１１８万バレル）の半分以上に相当する。
ＯＰＥＣ加盟国である同国の供給不安が買い材料視され、原油は終日プラス圏を堅調に推移した。
ＯＰＥＣ第２の産油規模を誇るイラクが減産する計画があるとの報道も相場の支援要因。ロイターは２９日、消息筋の話として、イラクは、ＯＰＥＣ加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「ＯＰＥＣプラス」の生産目標に対する超過分を解消するため、９月に日量３８５─３９０万バレルまで減産する計画だと報じた。
