NY市場サマリーのサマリー 5/30():ドル下落、利回り低下、ナスダック1%超安

ダウ -330(-0.86%)、米10年債利回り 4.556%VIX 14.47

<為替>

ドルが下落した。米商務省が発表した第1四半期のGDP改定値は年率換算で前期比1.3%増と速報値の1.6%増から下方改定され、2022年第2四半期以来の低水準となった。

「これは間違いなくFRBが期待していた内容であり、全ての数字が予想を下回ったことでFRBへのプレッシャーはいくらか軽減されるだろう」と。

主要通貨に対するドル指数は0.37%安の104.74となった。

年内後半の利下げの動向を見極める手がかりとして、31日発表の米個人消費支出(PCE)価格指数に注目が集まる。

「PCEは今日発表されたGDPの内容よりも、若干大きな影響を与える可能性がある」と。

ドル/円は0.53%安の156.805円。前日は1カ月ぶりの高値となる157.72円を付けた。

 

「政府・日銀は5月1日にこの水準付近で介入に踏み切っており、市場は現在158円を介入の防衛ラインとみている」と。

 

ユーロは0.3%高の1.083ドル。英ポンドは0.26%高の1.2734ドルとなった。

29日に発表された独5月CPI速報値に続き、31日にはユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表される予定。

 

<債券>

国債利回りが低下した。軟調な消費支出を反映し第1四半期の米経済成長率が下方改定されたことを受け、FRBに年内の利下げ余地があると示唆された。

商務省発表の第1四半期GDP改定値は年率換算で前期比1.3%増と、速報値の1.6%増から下方改定。FRBが物価の目安として注視するコア個人消費支出(PCE)指数は3.6%上昇と、3.7%上昇から下方改定された。

「インフレ抑制の面でFRBのためになる」と。

このほかの米経済指標では、週次の新規失業保険申請件数が前週比3000件増の21万9000件。

全米リアルター協会(NAR)発表の4月の中古住宅販売仮契約指数が前月比7.7%低下の72.3。2021年2月以来約3年ぶりの大幅低下となった。

これらの経済指標の発表を受け、米金利先物は年内に1回の0.25%ポイントの利下げが実施されるとの予想を織り込む水準にある。利下げが実施される時期の見通しは11月。

「FRBはインフレ率が2%に近づいているという確信を取り戻す必要があるが、そのために年内に多くの時間は残されていない。今年の緩和サイクルは浅いものになる。年内の利下げ回数は1回になる」と。

 

終盤の取引で10年債利回りは6.8bp低下の4.556%。2年債利回りは5.4bp低下の4.931%。2年債と10年債の利回り格差はマイナス37.5bp。前日はマイナス36.5bpだった。

 

<株式>

続落して取引を終えた。米顧客管理ソフト大手セールスフォースが前日発表した業績予想が嫌気され、テクノロジー株が下げを主導。ナスダック総合は1%超下落した。

セールスフォースは19.7%の大幅安。29日発表した第2四半期(5―7月)売上高・利益見通しは、いずれも市場予想に届かなかった。

この日発表された第1四半期GDP改定値は年率換算で前期比1.3%増と、速報値の1.6%増から下方改定された。小売売上高と設備投資の軟化を反映した。

「通常、GDPが下方改定されれば景気が減速し、FRBの仕事が終わって利下げが可能になることを示すため、市場は上昇するはずだが、きょうの反応はそうなっていない。その上で、過去6週間にわたって上昇してきたことを踏まえると健全。当面はある程度の調整や横ばいの動きが見込まれる」と。

 

IT大手のHPは17%急伸。四半期売上高が予想を上回った。

テスラは1.5%上昇。高度な運転支援機能「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウエアを今年展開する計画に向けて、中国当局への登録準備を進めているというロイター報道が材料視された。

四半期利益が予想を上回った家電量販大手ベストバイも13.4%急伸した。一方、通期売上高・利益見通しを引き下げた百貨店コールズは22.9%安となった。

 

<金先物>

米長期金利の低下やドル安などが支援材料となり、小幅上伸した。前日比2.40ドル(0.10%)高の2366.50ドル。

 

<米原油先物>

石油製品在庫の予想外の増加を嫌気した売りが膨らみ、続落した。WTIは、前日比1.32ドル(1.67%)安の77.91ドル。

翌31日に米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控え、米国株や原油先物などリスク資産の手じまい売りが先行。

米エネルギー情報局(EIA)が午前に公表した週次の在庫週報は強弱まちまちの内容。原油在庫は420万バレル減と、市場予想の200万バレル減を大幅に上回る取り崩し。一方、ガソリン在庫は200万バレル増(予想50万バレル減)、ディスティレート(留出油)は250万バレル増(同20万バレル減)と、予想に反して積み増しとなった。夏場のドライブシーズンを前に、製油所稼働率が上昇したにもかかわらず、ガソリンやディーゼルの需要が鈍いことを示す結果に失望感が広がり、昼ごろからは一段と売りが加速した。

市場はこのほか、OPEC加盟・非加盟の産油国が6月2日に開く会合の行方にも注目している。同会合では7月以降の生産方針に関する協議が行われる見通し。

 

 

 

 

『イギリスの古いもの』は、無料 ダウンロード サービス中