NY市場サマリーのサマリー 4/10():ドル153円上抜け、利回り上昇、ダウ急落、CPI受け

ダウ -422 (-1.09%)、ナスダック総合 -136 (-0.83%)、米10年債利回り 4.551%、VIX 15.80
 

<為替>

ドルが全面高。対円では一時153.24円と、1990年6月以来約34年ぶり高値を付けた。予想を上回る米CPIを受け、FRBの利下げ開始が6月ではなく9月に後ずれするという観測が強まった。

直近では、ドル/円は0.93%高の153.15円。

3月の米CPIは前年同月比3.5%上昇と、前月の3.2%上昇から加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。市場予想の3.4%も上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.4%上昇、前年比3.8%上昇した。

 

CMEのフェドウオッチによると、CPIを受け、6月の利下げ確率は17%と、9日終盤の57%から大きく低下。一方、9月利下げの確率は66%となった。また、FF金利先物が織り込む年内の利下げ回数予想は2回未満となり、数週間前の約3─4回から減少した。

「コアインフレの上昇が続いている。インフレが低下傾向にあると確信するには、実際に弱い数字とさらなる時間が必要になるだろう。これはFRBの金融緩和のタイミングが先送りされることを意味する」と。

 

午後に入り公表された3月19─20日のFOMC議事要旨からは、当局者がインフレ面での進展が停滞し、金利をより長期間現行水準で据え置く必要がある可能性を懸念していたことが分かった。

 

主要通貨に対するドル指数は一時昨年11月以来の高値を付けた後、終盤の取引では1.04%高の105.18。1日の上昇としては昨年3月以来の高さとなる勢い。

 

「日本当局が今月中に介入する可能性は30%程度だろう。当局は円の一段安を望んでいないだろうが、今日の動きは円の動向ではなく、むしろドルの強さを反映したものだ」と。

 

ユーロ/ドルは1.1%安の1.0740ドル。1日としては約1年ぶりの大幅な下げとなる見通し。

 

<債券>

10年債利回りが4.5%台に乗せ、昨年11月以来の高水準を付けた。3月のCPIの伸びが予想を上回ったことで、FRBの利下げ開始時期を巡る不透明感が増した。

労働省発表の3月のCPIは前年同月比3.5%上昇。前月の3.2%上昇から加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。市場予想の3.4%も上回り、市場ではFRBが9月まで利下げを見送るという観測が強まった。

 

バイデン大統領は、予想を上回るインフレ率を受けFRBの利下げ開始時期が後ずれする可能性があるとしながらも、「年内に利下げが行われるという私の予想は変わらない」と言及。

 

一方、FRBがこの日に公表した3月19─20日のFOMC議事要旨で、当局者がインフレ面での進展が停滞し、金利をより長期間現行水準で据え置く必要がある可能性を懸念していたことが分かった。

 

10年債利回りは18bp上昇の4.55%。

金利見通しを反映しやすい2年債利回りは約20bp上昇、4.96%と、10年債利回りと同様に2023年11月以来の高水準を付けた。

1日の上昇幅としては2年債利回りが2023年3月以来、10年債利回りが2022年9月以来の大きさとなった。

 

<株式>

主要3指数とも急落して取引を終えた。朝方発表された3月米CPIが市場予想を上回ったことで、FRBが早ければ6月にも利下げに踏み切るとの期待が打ち消された。

3月CPIは前年同月比3.5%上昇。前月の3.2%上昇から加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。市場予想の3.4%も上回った。

 

これを受け、インフレ率がFRBの2%目標に戻るまでの道のりはまだ長いとの見方が広がり、主要株価3指数がいずれも寄り付きから大きく下落した。

 

「インフレ統計の粘着性を受けて『分析は後にしてまずは売る』という心理が働いた。利下げの開始時期だけでなく、回数に関する予想も押し戻された」と。

 

FRBがこの日公表した3月19─20日のFOMC議事要旨で、当局者がインフレ抑制への歩みが停滞し、金利をより長期間現行水準で据え置く必要がある可能性を懸念していたことが分かった。

 

米10年債利回りが4.5%台に乗せ、昨年11月以来の高水準を付けたことも株価を圧迫した。

CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む6月の25bp利下げ確率は16.5%と、CPI発表前の56.0%から大きく低下した。

S&P500の主要11セクターはエネルギーを除く全業種が下落。金利に敏感な不動産が大きく下げた。住宅株は1月23日以来、小型株中心のラッセル2000は2月13日以来の大幅安となった。

大半の大型グロース(成長)株が売られたが、エヌビディアは逆行高で2.0%上昇した。

中国電子商取引大手アリババの米上場株も2.2%高。共同創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が従業員宛てに異例の長文メモを書き送り、同社再編への支持を表明した。

 

<金先物>

米CPIが市場を上回る伸びを示したことを背景に売り込まれ、4営業日ぶりに反落した。前日比14.00ドル(0.59%)安の2348.40ドル。

改めてインフレの過熱感が示唆されたことで、市場ではFRBの早期利下げ開始観測が後退。外国為替市場ではユーロ売り・ドル買いが優勢となり、ドル建てで取引される金はマイナス圏に落ち込んだ。

一方、中東ではイスラエルとイスラム組織ハマスで戦闘中止と人質解放に向けた交渉がこう着状態となっており、中東情勢を巡る先行き不透明感から「安全資産」としての金を買う動きが続いている。また中国では、不動産セクターへの懸念や同国株式市場の低迷から金を買い増しており、相場の下値は限定的となっている。

 

<米原油先物>

中東情勢の緊迫化を手がかりとした買いが入り、3営業日ぶりに反発した。WTIは、前日比0.98ドル(1.15%)高の86.21ドル。

ガザ休戦交渉を巡る不透明感を材料に、朝方にかけての相場は強もち合い。イスラエルとの戦闘を続けるイスラム組織ハマスは9日未明、仲介役のエジプトとカタールが新たに提示した休戦案は要求を何一つ満たしていないとしつつも、内容を精査して回答する考えを示した。ただ、イスラエルがハマス指令官の息子3人を空爆で殺害したとの報を受け、歩み寄りは難航するとの懸念が拡大した。

 

米エネルギー情報局(EIA)が午前に公表した週報(3月30日─4月5日)で米原油在庫は580万バレル増加。市場予想を大きく上回り、ガソリンとディスティレート(留出油)の在庫も減少予想に反して積み増し。加えて、ドル上昇に伴 う割高感にも圧迫され、相場は一時マイナス圏に転落した。

 

しかし、イスラエルへの反発を強めるイランが在シリア大使館に対する攻撃の報復として、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖を警告するなど供給網混乱への警戒感がくすぶり、昼ごろからは再び買いが優勢となった。

 

 

 

 

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