NY市場サマリーのサマリー 3/25():米国株軟調、円横ばい、利回り上昇

 ダウ -162(-0.41%)、米10年債利回り 4.246%、VIX 13.19
 

<為替>

終盤のニューヨーク外為市場では、円がほぼ変わらずとなった。序盤には神田財務官による円安けん制発言を受け上昇する場面があったが伸び悩んだ。一方、ドルは前週末に付けた約1カ月ぶりの高値から下落した。

 

神田財務官は25日、足元の円安は経済のファンダメンタルズに沿っておらず、投機によるものだと指摘、日本経済に悪影響を与えるもので容認はできないと語った。

「神田氏は明らかにトレーダーに介入の兆候を警戒させている」と。

 

ただ、円の上昇は長くは続かなかった。

終盤のドル/円は0.03%高の151.47円。前週末22日には約4カ月ぶりの高値となる151.86円を付けていた。

 

<債券>

米金融・債券市場では、FRBが先週、年内に3回の利下げが実施されるとの予想を維持したことが消化される中、国債利回りが上昇した。

 

先週はFRBのほか、BOEやスイス国立銀行(中銀)などが政策決定会合を開催。スイス中銀が主要中銀として初めて利下げに踏み切ったほか、英中銀はハト派方向に軸足を傾けた。ECBについては、6月に利下げに着手するとの見方が大勢になっている。

 

「FRB、ECB、英中銀は年央ごろに利下げに踏み切る公算が大きい。中央銀行が1回のみ単発で利下げを行うことはめったにない。通常は複数回の利下げを念頭に置いている」と。

 

FRBが19─20日のFOMCに合わせ発表した金利・経済見通しによると、年内に予想される利下げ回数の中央値は3回。シカゴ地区連銀のグールズビー総裁はこの日、「自分自身の予想は中央値と一致する」と述べた。

 

「米国のインフレ率は年初にトレンドを上回ったが、パウエルFRB議長が実質的にこれを看過したことで、FRBは6月に利下げに着手するとの見方が一段と強まった。利下げは9月と12月にも実施されると予想している」と。

 

<株式>

米国株式市場は下落して終了した。市場ではFRBの金融政策の行方を見極めようと、29日に発表される2月の個人消費支出(PCE)価格指数が注目されている。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は25日、先週のFOMCで、年内3回の利下げを予想したと明らかにした。クックFRB理事は同日、FRBが利下げに着手する時期を慎重に見極める必要があると述べた。

 

「多くの人が相場の反落を待っていた。FRBはまだ利下げせずに先送りを続けているが、市場は問題を感じていない。FRBは巧みに政策手段を温存している」と。

 

ナスダック総合は半導体大手エヌビディアとマイクロン・テクノロジーの上昇に支えられ、取引時間中の大半をほぼ横ばいで推移したが、終盤で失速した。

 

<金先物>

COMEXの金先物相場は、雇用や物価に関する新たな統計に注目が集まる中、対主要通貨でのドル下落に伴う割安感を支えに反発した。

 

今年6月ごろの利下げ開始観測を背景に、この日の外国為替市場では、このところ主要通貨に対して上昇基調にあったドルを売り戻す動きが先行。ドル建てで取引される金に割安感が生じ、相場はほぼ終日堅調に推移した。

 

前週にFOMCを終え、金融政策動向に関する次の手掛かりを模索する上で、今週は複数のFRB高官の発言や、週次の新規失業保険申請件数(28日発表)、2月の個人消費支出(PCE)物価指数(29日発表)などの経済指標に注目が集まっている。特にPCEはFRBがインフレ指標として重視することで知られ、結果を見極めたいとの思惑が強い。

 

ただ、29日はグッドフライデー(聖金曜日)で金先物相場の取引は休み。このため、同統計を受けた売り買いは4月1日の週に持ち越されるとの見方も出ている。

 

<米原油先物>

NYMEXの原油先物相場は、地政学的リスクの悪化を警戒した買いが入り、反発した。

3月に入り、ロシアとウクライナが互いのエネルギー施設をドローン(無人機)やミサイルで相次いで攻撃。ロイターは関係筋の話として、週末にウクライナからのドローン攻撃を受けたロシアの製油所の稼働率が半分に低下したと報じた。

また、OPEC加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が3月初旬に合意した自主減産継続の順守に向け、ロシア政府が石油企業に対し、4─6月期の生産を抑制するよう命じたと伝わったことも、需給引き締まり観測につながったとの見方があった。