NY市場サマリーのサマリー 3/12():S&Pが最高値更新、ドル上昇、利回り上昇

 

<為替>

不安定な地合いの中、ドルが上昇した。予想を上回る米インフレ統計を受け、6月の米利下げ開始観測がやや後退した。

日中は荒い値動きだった。インフレ統計発表直後のドルは急上昇。その後、下げに転じたものの市場がインフレ統計を消化する中、最終的には上昇した。ドル指数は0.2%高の102.95。

12日発表の2月CPIは、前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇。1月は前月比0.3%上昇、前年同月比3.1%上昇だった。ロイターがまとめたエコノミストの予想は前月比0.4%上昇、前年同月比3.1%上昇。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比が1月と同じく0.4%上昇。前年同月比では3.8%上昇で1月の3.9%上昇から鈍化し2021年5月以来の低い伸びになった。

CPIは大きなサプライズではなかったが、予想よりは堅調だった。CPIの詳細には勇気づけられるものもあったが、FRBが利下げに踏み切るにはまだ少し時間がかかることを示唆している。おそらく、6月利下げに関する議論は続くだろうが、それ以上にFRBが次回のFOMCで示すドットチャートがどうなるかが注目される。おそらく年内の3回の利下げを下回る可能性について議論されるだろう」と。

 

<債券>

国債利回りが上昇した。2月CPIの伸びが予想をやや上回ったことを受け、物価圧力が高い状態が続けば、FRBは市場で予想されているほど早く利下げに着手できない可能性があるとの見方が高まった。

インフレにかなり『粘着性』があることが示された。これはインフレ率は最終的に目標の2%に低下するとしているFRBの見方に対し問題となる」と。

 

CMEフェドウオッチによると、2月のCPI統計を受けFRBが6月までに利下げに着手する確率が69%と、前日の72%から低下した。

終盤の取引で10年債利回りは5.8bp上昇の4.156%。2年債利回りは6.9bp上昇の4.600%。

 

<株式>

米国株式市場は上昇し、S&P500が終値で最高値を更新した。前日に半導体大手エヌビディアとの共同発表を控えていることが明らかになったソフトウエア大手オラクルが急伸した。

米CPIが市場予想を上回ったにもかかわらず、利下げへの期待が維持されたことも相場を支援した。

オラクルは11.7%上昇し過去最高値を付けた。11日に発表した四半期決算で利益が予想を上回った。オラクル幹部はアナリストとの電話会見で少なくとも3回、エヌビディアに言及し、約1週間の間に共同発表を行う予定だと明らかにした。

エヌビディアも買われ、7.2%上昇。2日続落していたフィラデルフィア半導体指数は反発し2.1%高となった。

米労働省が12日発表した2月のCPIは前月比0.4%上昇。ガソリンや住居費の上昇で伸びが加速した。

 

<金先物>

COMEXの金先物相場は、米CPIの発表を受けて早期の利下げ期待が若干しぼみ、9営業日ぶりに反落した

米労働省が朝方発表した2月のCPIは、前月比0.4%上昇、前年同月比では3.2%上昇。伸びはそれぞれ1月実績の0.3%、3.1%から小幅に加速した。インフレ圧力は2022年半ばのピークから弱まりつつあるものの、緩和のペースは鈍く、市場ではFRBが6月までに利下げを開始するとの観測がやや後退。米金利とドル指数が上昇する中、利子を生まず、ドル建てで取引される金塊の投資妙味が薄れたとして、利益確定の売りが台頭した。

 

<米原油先物>

NYMEXの原油先物相場は、対ユーロでのドル高を背景に売りが優勢となり、4日続落した。朝方発表された2月の米CPIは前年同月比3.2%上昇、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は3.8%上昇と、ともに市場予想をやや上回る内容となった。これを受けて、FRBによる利下げが後ずれするとの観測が強まり、対ユーロでドルが上伸。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、原油が売られた。また、米エネルギー情報局(EIA)が2024年の米原油生産高見通しを前年比で日量26万バレル増の日量1319万ドルとし、従来予想から上方修正したことも圧迫要因。

 

 

 

 

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