NY市場サマリーのサマリー 2/2(金):利回り急伸、ドル上昇、S&P最高値更新
<為替>
力強い米雇用統計受け、利下げ観測が後退したことで、ドル指数が約7週間ぶりの高値を付けた。
労働省が朝方発表した1月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比35万3000人増と、伸びは市場予想の18万人を大幅に上回った。賃金も約2年ぶりの上昇率を記録した。
CMEフェドウオッチによると、3月の会合で0.25%ポイントの利下げが決定される確率は21%と、前日時点の38%から低下。5月に利下げが決定される確率は75%と、94%から低下した。
1月はドル相場と米国債利回りが共に上昇。このところのドルと国債利回りの動きはポジション調整を反映しているとの見方も出ている。
ドル指数は104.04と、昨年12月12日以来の高水準を更新。
ユーロ/ドルは1.07810ドルに下落。ただ、前日に付けた昨年12月13日以来の安値(1.07800ドル)までは下げなかった。
ドル/円は148.58円に上昇。1月19日に付けた 昨年11月28日以来の高値(148.80円)に迫った。
英ポンド/ドルは1.26140ドルと、1月17日以来の安値。
豪ドルは10週間ぶり安値の1豪ドル=0.65035米ドル。
<債券>
国債利回りが急伸した。予想を上回る好調な米雇用統計を受け、早期利上げ観測が後退する中、指標10年債利回りは4%を超え、1日としては2022年9月以来の大幅な伸びを記録した。
市場が織り込む年内の利下げ幅は計127bp。年初は160bp超だった。
10年債利回りは16.3bp上昇の4.026%。ただ、週間では29.7bp低下と、昨年12月11日の週以来の大幅な下げとなった。
2年債利回りは17.8bp上昇の4.372%と、1月中旬以来の高水準近辺を推移。1日としては昨年5月以来の大幅な伸びとなった。
2・10年債の利回り格差はマイナス34.8bpと、逆転幅は約1カ月ぶりの大きさ。
<株式>
上昇して取引を終えた。S&P500は終値ベースでの史上最高値を更新。米利下げ観測が後退したものの、好決算と好調な米雇用統計が経済への信頼感を高めた。
メタとアマゾンの堅調な四半期決算がS&P500とナスダック総合を1%以上押し上げた。一方、ダウの上値は限定的だった。主要3株価指数はいずれも4週連続で上昇した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場は3月のFOMCで0.25%ポイントの利下げが実施される確率を20.5%としている。1カ月前は69.6%だった。
S&P500構成銘柄のうち230社がすでに決算を発表。LSEGによると、そのうちの80%が市場予想を上回った。
アナリスト予想では、2023年10─12月期のS&P500構成銘柄の増益率は7.8%。1月1日時点の4.7%から大幅に改善している。
個別銘柄では、メタが20.3%上昇し最高値を更新。1日発表した2023年第4四半期決算は、売上高と利益が市場予想を上回ったほか、同社初となる配当実施も発表した。
アマゾンも7.9%上昇。1日発表した2023年第4四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。生成AI機能の追加が奏功し、クラウドと電子商取引の両サービスが年末商戦期に好調に推移した。
地銀株は安定的に推移。ニューヨーク州を地盤とする銀行持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の予想外の赤字決算を受け前日まで続落していたが下げ止まった。NYCBはこの日、5.0%上昇。KBW地方銀行株指数は0.2%上昇した。
米石油大手シェブロンは2.9%高。第4四半期利益が市場予想を上回った。
<金先物>
堅調な米雇用統計を受けたドル高や米長期金利の上昇を背景に売りが膨らみ、反落した。
前日比17.40ドル(0.84%)安の2053.70ドル。
3月利下げ開始への期待が後退。ドルが対ユーロで急伸したため、ドル建てで取引される金の割高感を嫌気した売りが膨らみ、相場は一時2040ドル台まで下落した。米10年債利回りが再び4%台に上昇し、利子の付かない金の投資妙味が薄れたことも下押し圧力を強めた。
<米原油先物>
米欧の早期利下げ観測の後退などを嫌気し、3営業日続落した。WTIは、前日比1.54ドル(2.09%)安の72.28ドル。週間では7.35%下落した。
雇用統計を受けて、投資家は売りで反応し、午前には一時71ドル台に沈んだ。
また、米国外でも、ECB理事会メンバーが早急な利下げに消極的な見解を示したほか、世界最大の石油輸入国である中国経済について、国際通貨基金(IMF)がこの日、2024年と25年の成長率予想を下方修正する可能性があると指摘。主要国・地域の景気減速に伴うエネルギー需要の鈍化懸念につながった。
加えて中東では、イスラエルとイスラム組織ハマスが衝突するパレスチナ自治区ガザの休戦期待が浮上している。米国やイスラエルが一致した戦闘休止案の受け入れを巡り、ハマス側は検討を続けているとされ、休戦が実現すれば供給混乱がいったん落ち着くとして、相場は終盤まで軟調に推移した。