NY市場サマリーのサマリー 1/19():S&P最高値、ドル小反落、利回り上昇

 

<為替>

ドルが小反落。ただ、最近の堅調な米経済指標や一連のFRB当局者の発言を受け早期利下げ観測が後退する中、ドルは前日まで5営業日続伸し、週足では0.8%上昇した。

ドル指数は終盤の取引で0.08%安。朝方発表された1月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)が2021年7月以来の高水準となったことを受け、ドルは一時上昇する場面もあった。

CMEフェドウオッチによると、FRBが3月に少なくとも0.25%ポイントの利下げを実施する確率は50%を下回った。トレーダーの間では、利下げ開始が5月になる公算が大きいという観測が高まっている。

シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は19日、FRBが利下げに踏み切るには、インフレ率が目標である2%まで低下し続けることが必要だが、そうした判断を下すにはさらに数週間のデータが必要だと述べた。

 

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、インフレ率を目標である2%まで低下させるためには「やるべきことがたくさん残っている」と感じており、利下げが間近に迫っていると考えるのは「時期尚早」と述べた。

 

ユーロ/ドルは0.16%高。週間では約0.5%下落した。JPモルガンは、ECBによる利下げ開始時期予想を9月から6月に前倒しした一方、インフレと賃金上昇の動向については引き続き「慎重」との見方を示した。

 

ドル/円は横ばいの148.15円。日銀が来週開催する金融政策決定会合では金融緩和の現状維持が決定されるとみられている。週間では、ドルは円に対し2%超上昇し、3週連続で上昇する勢い。

 

ポンド/ドルは0.06%安。昨年12月の英小売売上高(数量ベース)は前月比3.2%減と、過去3年近くで最大の減少となった。

 

<債券>

弱気バイアスが維持され、米債利回りが引き続き上昇した。一連の堅調な経済指標が消化される中、利下げが想定ほど差し迫っていないとの見方が広がった。

米ミシガン大学が19日発表した1月の消費者信頼感指数(速報値)は78.8と2023年12月の69.7から上昇し、2021年7月以来の高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は70.0だった。

1年先のインフレ期待は12月の3.1%から2.9%に低下し、2020年12月以来の低水準となった。5年先のインフレ期待も前月の2.9%から2.8%に低下した。

 

これを受け、米金利先物市場では、FRBが5月まで利下げを開始しないとの見方が強まった。3月に利下げを開始する確率は約47%と、この日序盤の55%から低下した。

 

10年債利回りは4.145%と1カ月超ぶりの高水準。週間では昨年10月以降で最大の上昇を記録した。

 

2年債利回りは5bp上昇の4.408%と2週間ぶりの高水準。週間では昨年5月以降で最大の上昇となった。

 

<株式>

S&P500が終値ベースで約2年ぶりに過去最高値を更新した。AIを巡る楽観的な見方から半導体関連など大型ハイテク株が上昇した。

S&P500はこの日、1.23%上昇し、4839.81ポイントで取引を終了。2022年10月12日に安値を付けて以来、強気相場が続いていることを裏付けた。

半導体メーカーでは、エヌビディアが4.2%上昇したほか、アドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)が7%超上昇。サーバーなどを提供するスーパー・マイクロ・コンピューターが第2四半期の利益予想を上方修正し、株価が36%急騰した。

LSEGのデータによると、1銘柄当たりの売買代金はエヌビディアが310億ドル、AMDが230億ドルで売買代金上位となった。

フィラデルフィア半導体指数(SOX)は4%上昇し、過去最高値を更新。S&P情報技術も2%超上昇し、最高値を付けた。

マイクロソフトとアップルもともに1%超上昇した。

米ミシガン大学が19日発表した1月の消費者信頼感指数(速報値)が78.8と2023年12月の69.7から上昇し、2021年7月以来の高水準となったことも株価の追い風となった。

個別銘柄では、米損害保険会社トラベラーズが6.7%高。第4四半期利益が2倍以上に増加した。ステート・ストリートも2.1%上昇。第4四半期のグローバル・アドバイザーズ部門への資金流入が過去最高を記録した。

一方、アイロボットは27%下落。EUの競争監視機関である欧州委員会アマゾンによるアイロボット買収計画を阻止する方針との報道を受けた。

 

<金先物>

対ユーロでのドル安を背景に買われ、続伸した。前日比7.70ドル(0.38%)高の2029.30ドル。金相場は週間では1.09%安となった。

外国為替市場では、ユーロ買い・ドル売りが先行。ドル建てで取引される商品の割安感につながり、金が買われた。ただ、FRB高官らの利下げけん制ともとれる発言が相次ぐ中、FRBが3月にも利下げに動くとの観測が後退しており、金相場の上値は限定的。米ミシガン大学が19日発表した消費者調査によると、1月の景況感指数(暫定値)は78.8となり、前月の69.7から上昇。市場予想も上回ったが、相場の反応は一時的だった。

 

<米原油先物>

中東情勢の緊迫化などを背景とした買いが一服し、3営業日ぶりに反落した。WTIは、前日比0.67ドル(0.90%)安の73.41ドル。週間では1.00%上昇した。

週末を前に売り買いが活発化し、やや荒い値動きとなった。米軍は18日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点に5回目の空爆を実施したが、フーシ派はイスラエルと戦闘を続けるイスラム組織ハマスとの連帯を示すため、紅海での商船攻撃を継続する姿勢を表明。また今週に入り、イランとパキスタンの関係が急速に悪化しており、中東地域の紛争拡大への警戒感から、午前の相場は75ドルを目指す展開だった。しかし、その後は一転して売りが膨らみ、昼ごろまでに73ドル台前半に下落。世界最大の石油輸入国である中国経済の成長鈍化や、米欧などの景気後退への根強い懸念が利益確定の動きにつながったもよう。

 

 

 

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