NY市場サマリーのサマリー 11/28(火):ドル3カ月超ぶり安値、利回り低下、株小幅高
<為替>
ドルが3カ月超ぶりの安値に沈んだ。米経済の成長が鈍化し始めているとの見方が広がり、市場は来年前半の利下げを織り込み始めた。
CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では3月の利下げ確率を33%、5月は約65%と想定。27日時点ではそれぞれ21%、約50%だった。
FRBのウォラー理事は28日、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆。これを受け、ドルは下げ幅を拡大した。
ウォラー氏は「標準的なテイラールールに基づけば、あと数カ月─3カ月か4カ月か5カ月か分からないが─ディスインフレが続き、インフレ率が本当に低下方向に向かっていると確信が持てれば、景気回復などとは無関係に、インフレ率が低下したという理由のみで政策金利を引き下げ始めることができる」と述べた。
ドル指数は一時102.60まで下落し、8月中旬以来の安値を付けた。終盤は0.3%安の102.82。月間では3.6%安と2022年11月以来の大幅な下げを記録する勢い。
ユーロ/ドルは一時1.1009ドルと3カ月半ぶりの高値まで上昇。終盤は0.3%高の1.0981ドル。
ポンド/ドルも上昇し、9月1日以来の高値を付けた。終盤は0.4%高の1.2685ドル。
ドル/円は0.8%安の147.49円。
豪ドル/米ドルは一時0.6665米ドルと約4カ月ぶりの高値を付けた。
<債券>
大半の米債利回りが低下。米10年債利回りは2カ月ぶりの低水準を付けた。FRBの発言で、FRBの利下げが視野に入っている可能性が示唆されたことを受けた。
FRBのウォラー理事は28日、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。
これを受け2年債利回りは9bp低下の4.765%となった。
また、米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は28日、全体的なインフレ率が1950年代以来のペースで低下しているとの見方を示した。
390億ドルの7年債入札が不調だったことを受け、米債利回りは一時、低下幅を縮小した。応札倍率は2.44倍と4月以来の低水準だった。
10年債利回りは4bp低下の4.348%。一時4.332%と9月20日以来の低水準を付けた。2・10年債の利回り格差はマイナス41.5bp。27日はマイナス50.2bpだった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は5年物が2.191%、10年物は2.246%だった。
<株式>
狭いレンジで推移した後、わずかに上昇して取引を終えた。相反する内容となったFRB当局者の発言を投資家が精査する中、堅調な消費者データが幾分の支援となった。
主要3指数はいずれも取引が進むにつれて勢いを失った。
市場参加者は現在、来月のFOMCを前に政策当局者の発言を注視している。
ウォラーFRB理事は28日、現在の金利水準が十分に制限的であると「ますます確信している」と述べ、インフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。
一方、ボウマン理事は同日、インフレ率を妥当な期間内に2%の目標まで引き下げるためには、FRBは借入コストをさらに引き上げる必要がありそうだと言及した。
CMEフェドウオッチによると、金融市場は来月のFOMCで金利が据え置かれる確率を98.9%織り込んでいる。
コンファレンス・ボード(CB)が28日発表した11月の米消費者信頼感指数は102.0と10月改定値の99.1から4カ月ぶりに上昇。ロイターがまとめたエコノミスト予想(101.0)を上回った。
航空機大手ボーイングは1.4%上昇。RBCキャピタル・マーケッツが投資判断を「セクターパフォーム」から「アウトパフォーム」に引き上げた。
後払い決済サービス(BNPL)大手のアファーム・ホールディングスは11.5%高。サイバーマンデーの好調を背景に前日も大きく上げていた。
半導体大手マイクロン・テクノロジーは1.8%安。第1四半期(9─11月)の営業費用が従来予想を上回るという見通しを示した。
<金先物>
米利上げ打ち止め観測を後押しするFRB高官の発言をはやし、3営業日続伸した。前日比27.60ドル(1.37%)高の2040.00ドルと、前日に続き今年5月上旬以来、約6カ月半ぶりの高値となった。
<米原油先物>
対ユーロでのドル安などを背景に買われ、5営業日ぶりに反発した。WTIは前日比1.55ドル(2.07%)高の76.41ドルだった。
前日まで4営業日続落した反動から、安値を狙った買いも入りやすかった。原油在庫の取り崩しが予想されていることも相場の支援材料。
一方、OPEC加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」が30日に予定している閣僚級会合を巡り、減産措置の期間延長や会合再延期の可能性が浮上。目先に追加減産で合意できなければ需給が緩むとの見方もあり上値は重かった。