◎手足の壊死や多臓器不全で死に至る恐れのある劇症型溶連菌

・感染者数は過去最多のペースで増え続けています。初期症状のサインは医師でも見分けがつきにくいとされ、手足の腫れや痛み、発熱などの症状が出てから短時間で容体が急変することもある対処が難しい感染症です。専門家が異常事態と警戒を強める急拡大の背景には何があるのか?感染対策はどうすればよいのか?早期発見・治療のカギは?最新情報を伝えました。

・溶連菌と言えば、発熱やのどの痛み、咽頭炎、そして、皮膚の発疹などが起きる感染症で、子どもがかかる病気と思い浮かべる方、多いと思います。しかし同じ菌でも、ごくまれに劇症型と呼ばれる症状を引き起こします。具体的には手足のえ死をもたらす腫れや痛み、そして腎臓や心臓などの多臓器不全。さらにショック症状が起きて、致死率は3割とも言われています。

・この劇症型溶連菌の感染者が中高年を中心に近年、急増しているんです。コロナ禍で一時減ったものの2023年は941人と過去最多。2014年はすでに801人と2023年の同じ時期の2.8倍に上っています。今回、命の危機に直面した人たちへの取材から見えてきたのは医師でも初期症状を見分けるのが難しく急激に悪化する実態でした。

 

田畑敬愛の場合

 

◎劇症型溶連菌に感染した田畑敬愛さんです

右脇から背中にかけて溶連菌に感染した組織がえ死。え死した組織を取り除く手術を繰り返し一命を取り留めました。田畑さんに異変が起きたのは2023年11月。経営する美容室で仕事を終えたあと発熱。強いけん怠感もあり田畑さんはインフルエンザを疑いました。翌朝になっても熱は下がらずさらに右肩に原因不明の痛みと腫れが現れました。時間の経過とともに意識が朦朧とし始めていて意識を失うほどじゃなかったんですけど発熱の辛さと痛みとが今までにない症状だなと感じました。

・何かがおかしい。田畑さんは自ら救急車を呼び医療機関に搬送された。検査の結果、炎症を示す値が正常値より大幅に高く腎臓の機能も低下していました。翌日、原因が分からないまま3か所目の医療機関へ転院。診断は急性腎不全。さらに患部のえ死が疑われ治療には専門的な医療機関への転院が必要だと告げられました。

・嘔吐とかも出始めて尿が出なくなってという症状も出ていて腫れも広がってきて痛みもひどくなってきて。本当に恐ろしくなったというか、もしかして死んじゃうのかなとか、その時によぎりましたね。発症から4日目。4か所目となる日本医科大学付属病院に搬送されました。※igG4自己免疫疾患の私がお世話になっている病院です。

 

日本医科大学付属病院/西條優作医師


最初は溶連菌感染症ではなく壊死性軟部組織感染症と考えていました。初めて病院に来たときで、もう真っ赤ですね。右の脇腹から胸にかけて、すごい真っ赤だったんですね。全身状態を考えたときに傷を開けないことには、もう何も始まらないなと思いまして、すぐに手術の決定をしました。しかし、この時点でも、すぐに診断は確定しませんでした。取り出した組織から溶連菌を検出。ここで初めて劇症型溶連菌感染症と診断がつきました。感染部位の除去手術は8回に及び集中治療室で抗生剤の投与など全身の治療が行われました。田畑さんは3週間もの間、意識が戻りませんでした。

2か月間の入院を経て病状は回復。リハビリを続け日常生活を送れるようになった。3月から美容師の仕事を再開した田畑さん。なぜ自分が感染したのか。いまだに分からないといいます。田畑さんの治療を行った日本医科大学付属病院では、その後5か月で11人の重症患者が入院。およそ半数は感染経路が明らかになっていません。

 

◎左足に菌が入り込んだとみられ切断を余儀なくされた50代の男性

発症する数日前に道ばたで転倒したことがありましたが、それ以外、思い当たることはないという。

感染した男性

転んだけど別にけがしたわけじゃない。もしかすると、すり傷があったかもしれないけど全く分からずで。まさかですよね、こんな事になるとは。足を失うことになるとは考えてなかったですね。ここに運ばれたとき初めて切断の覚悟をしてくれって言われた。

日本医科大学付属病院/村上太志医師

どんどん増えてきてる。まだまだ患者が来ると予想しています。感染症は簡単に言うと放置しておくとそこで菌が増殖してしまう。とにかく早く診断、早く治療するというのが、かなりカギになってくる。そこのところが大事かなと思います。

 

感染路は?治療方法は?

ここからは感染制御が専門の賀来満夫さんと劇症型溶連菌から命を守る方法を考えていきます。こちらのボードで一緒に見ていきたいと思いますが、まず感染経路です。こちらの図を使いながら、どのように感染していくのでしょうか?

~長くなるので詳細は以下はこちらへ↓

劇症型溶連菌が急拡大 感染症の原因や予防 治療のカギに迫る - NHK クローズアップ現代 全記録

 

★番組を見ていて私が通院している日本医科大学付属病院が出てきたので急に親近感がでました。それにしても恐ろしい感染症です。みなさん気をつけて下さい。