◆短期的に起こるもの

 

①消化性潰瘍
いわゆる胃潰瘍などのことで主に上腹部の痛みを生じます。 これはステロイドに胃酸の分泌を促進する効果そして胃の粘膜を守る物質の量を減らす効果があるからです。
潰瘍を形成するまでにはある程度の時間がかかるのが普通ですが胃の痛みなどは投与開始後数日以内などのもっと早い時期に生じることもあります。つまり簡単にいえばステロイドは胃にある程度の負担をかける薬です。
しかし、こうした薬は他にもたくさんあり(ある種の痛み止めなど)胃薬を一緒に使用することでほとんどのケースで対処可能です。したがってステロイドによる消化性潰瘍への対策も同じです。

②不 眠
上で書きましたがステロイドは身体活動を活発にする関係上、副作用として眠気を生じる場合があります。これへの対処法も上で書いた通りですが飲むタイミングを朝の方にずらすことが有効です。

                                      ◆長期間継続してはじめて起こるもの

①免疫機能の低下
これまで何度か触れているようにステロイドには免疫機能を抑制するはたらきがあります。 そのため自己免疫疾患などで過剰になった免疫機能を抑えるために使用されるのですが、そうでない病気・症状に使う場合はこれがそのまま副作用になりえます。つまり各種の感染症にかかりやすくなります。
日常生活においてよく起こる感染症は、いわゆる風邪やインフルエンザなど呼吸器関連のものです。したがって・人込みを避ける・マスクを着用する・手洗いなど衛生手技をしっかり行うなどが自分でできる対処法として重要です。
またステロイドを特に大量に使用する場合には予防的に抗菌薬(ST合剤というものなどが一般的です)を使うケースもあります。
②糖尿病
ステロイドに血糖値を上昇させる作用があることはすでに紹介しました。 これの程度が過ぎると糖尿病といえる状態に至ります。基本としては定期的な検査を行って早期発見し食事内容を見直したりすることで対処します。場合によっては血糖値を下げる薬を用いることもあります。
③体型に関連するもの
ステロイドには筋肉や脂肪組織に対する作用も知られています。具体的には筋肉は萎縮する方向に脂肪は蓄える方向にはたらきます。
また、こうした影響を相対的に受けやすい部位があります。具体的には筋肉の萎縮は四肢に脂肪の沈着は体幹や肩に多く生じます。この結果おなかや背中には脂肪が増えて太くな、反対に手足は筋肉が萎縮して細くなります。
また肩に脂肪がたまるため、その部位だけが盛り上がったようになります野牛肩などと呼ぶことがあります。その他、顔のむくみムーンフェイスなどが知られています。
④骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨がもろくなり骨折しやすくなった状態をいいます。 ステロイドは骨の代謝に対して影響を与え強度を低下させる方向にはたらきます。
対処法としては、やはり定期的に骨密度等の検査を受け早期に異常を発見することが重要。幸いいくつかの薬がステロイドによって生じる骨粗鬆症に有効であることが知られているため、こうした薬を併用することで悪化を食い止めることができる。
⑤目に関連するもの
具体的には緑内障と白内障が挙げられます。よく似た名前ですが、緑内障は眼圧が上昇し放置すると視野の欠損につながるもの白内障は目の水晶体(レンズにあたる部分)が濁って見えにくくなるものです。
⑥ステロイド離脱症候群
長期間ステロイドの服用を続けていると元の分泌量を継続していてはオーバーになりますから身体はこれを下方修正します。ここでステロイドを飲むのを止めると上乗せ分がいきなりなくなるので下方修正された分泌量では足りなくなります。こうした必要量に対するステロイド分泌量相対的な不足によって、さまざまな症状が起きてくるわけです。具体的な症状としては身体のだるさ・頭痛・関節痛・発熱などがあります。ただし上のような仕組みを理解していれば対策は比較的シンプルです。
 
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