遺伝は『メンデルの法則』に従います。
『メンデルの法則』は学校で習ったので覚えている方も多いと思います。エンドウ豆を使った実験でお馴染みのアレです。
メンデルの法則は3つあります
・優劣の法則
・分離の法則
・独立の法則
単一遺伝子疾患において重要となるのは、そのうちの
【優劣の法則】と【分離の法則】です。
優劣の法則というのは簡単に言うと「親世代のどちらかの形質のみが子世代に現れる」ということです。
優性遺伝・劣性遺伝という言葉は聞いたことがあると思います。
※たまに勘違いをしている方がいらっしゃいますが、ここでいう
【優劣】とは『優れている/劣っている』ではなく、『(遺伝的形質が)現れる(優性)/現れない(劣性)』だと
いうことを覚えておいてください。
*簡単な例として血液型を考えてみましょう*
A型とB型はO型に対して優性です。
当たり前ですが、O型の方がA型・B型・AB型の方に対して劣っているということはあり得ないですよね。
ただ遺伝的形質として、A型とB型は優性であり、O型は劣性であるというだけです。
(A型とB型は同等に遺伝的形質が現れるので、AB型となります)
遺伝子が束になったものである染色体は、父親から1本、
母親から1本ずつ貰い通常1ペア2本持って生まれてきます。
つまり、優劣の法則とは、持っている染色体2本の内、優性であるものが形質として現れるということになります。
また血液型を例にとって考えてみましょう。
父親は2本の染色体共にA型の遺伝子を持っていて、母親は2本ともO型の遺伝子を持つカップルがいたとします。
このカップルから生まれる子供は必ずA型となります。
父親からA型遺伝子、母親からO型遺伝子を1本ずつ貰いますが、「A型はO型に対して優性」であるため、子供の遺伝的形質はA型となるためです。
ヒトではあり得ないことですが、この子供同士でさらに次世代を作ったとします。
このように、孫世代では優性の形質と劣性の形質が3:1で現れます。
これを分離の法則と言います。
つまり、お互いに劣性の遺伝子を持つ者同士のカップルが子供を作った場合にのみ劣性の形質(この場合はO型)が現れます。
そしてその確率は1/4(25%)です。
血液型を形成する遺伝子は全員が必ず持っている遺伝子です。
そのため、A型の両親からO型のお子さんが生まれるということはそんなに珍しいこととは思われないと思います。
それが、ごく稀な人しか持たないような
遺伝子だったらどうでしょうか。
稀な遺伝子疾患の遺伝子を持っていても、その遺伝子が劣性であった場合には、その人は遺伝子疾患を発症しません。
そのため、その方自身は健康な人です。
しかし、その方のパートナーが偶然にも同じ遺伝子疾患の遺伝子を持っていたらどうでしょうか。
その方も同様に遺伝子疾患を発症していない健康な人です。
遺伝は『メンデルの法則』に従います。
先ほどの血液型の例と同じです。
25%の確率で遺伝子疾患を発症する子供が生まれます。
これはあくまでも確率ですので、4人生まれたら必ず1人が遺伝子疾患の子になる訳ではありません。
10人生まれても1人も遺伝子疾患を発症する子が生まれない可能性も十分あり得ますし、1人しか生まなくてもその子が遺伝子疾患を抱える子になる可能性もあるのです。
そのため、親、きょうだい、親戚を見渡しても誰も遺伝病を持つ人がいないにも関わらず遺伝病の子供が生まれた。というのは、実は劣性遺伝子を持っていても発症していないためにその遺伝子疾患を持っていたことに気付いていなかっただけであり、偶然にも同じ劣性遺伝子を持つ人との間に生まれた子供が、両親どちらからも劣性遺伝子を受け継いだために遺伝病を発症したためという訳です。
遺伝子疾患を発症するような特殊な遺伝子。
そんな遺伝子を持つ人は特殊な人なのでしょうか?
あなたも遺伝子疾患を発症する遺伝子を
持っているかもしれません
次回に続く(かもしれない)