子宮内膜炎とは、子宮内膜に炎症が起きている病態を言います。
細菌感染が子宮内膜炎の主な要因です。
感染状況により急性子宮内膜炎と慢性子宮内膜炎とに分けられます。
子宮内膜の機能層と呼ばれる部分は月経の度にはがれて体外に出ていき、子宮内膜はまた新しく作られるということが繰り返されるため、炎症が起きることはほとんどありません。
そのため、急性子宮内膜炎では、月経時に子宮内膜がはがれると共に一緒に細菌も体外へ出ていき、自然に治る場合があります。
一方、慢性子宮内膜炎は、細菌が子宮の中の基底層にまで入って、再度子宮内膜が作られるごとに感染するもので、自然には治りません。
慢性子宮内膜炎は、ほとんどの人に自覚症状がなく、自分では
分からない場合があります。時に軽度の不正性器出血や骨盤痛などが現れる人もいますが、症状に乏しいことが特徴です。
子宮内膜炎が進むと、骨盤腹膜炎が起きることがあります。
慢性子宮内膜炎の罹患率は約0.8~19%と言われています。
一方、不妊症患者ではその罹患率が2.8~39%に昇ると言われ、さらに習慣性流産や着床不全の患者では、それぞれ罹患率が60%、 66%になるという報告もあります。
慢性子宮内膜炎を治療したことにより、妊娠率が改善したというデータもあります。
慢性子宮内膜炎は不妊の原因(習慣性流産や着床不全)となっている場合があることから、近年になり生殖補助医療の分野で注目が集まるようになりました。
慢性子宮内膜炎の診断のためには、以下のような3つの検査方法のいずれか、あるいは複合的な検査を行う必要があります。
①組織学的検査・・・子宮内膜組織を生検し、免疫染色という方法により特異的マーカーを検出する
②子宮鏡検査・・・子宮鏡により、間質の浮腫や肥厚、管構造周囲の充血、マイクロポリープの観察をする
③細菌培養・・・感染の原因菌 (腸球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、ウレアプラズマ、マイコプラズマなど) の検出
しかし、この3つの検査には全て検出限界があります。
①組織学的検査・・・診断結果が、生検する部位や月経周期により正確でないことがある
②子宮鏡検査・・・診断結果には、医師の主観が伴う
③細菌培養・・・培養が難しい、培養できない細菌が存在する
慢性子宮内膜炎の検査方法には、いずれも検出限界があり、どの検査方法を用いれば良いのかについては、まだ一致した見解がありません。
施設によっては、①~③のいずれかの検査で異常を疑う場合に、慢性子宮内膜炎と診断を下しているケースもあります。
ALICE検査では、培養が困難、または培養では検出できない細菌でも特定ができます。
・エンテロコッカス(Enterococcus )属菌
・腸内細菌科(大腸菌や肺炎桿菌など)
・ストレプトコッカス(Streptococcus )属菌
・スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌
・マイコプラズマ(Mycoplasma)属菌
・ウレアプラズマ(Ureaplasma)属菌
・クラミジア(Chlamydia)属菌
・ナイセリア(Neisseria)属菌