それからの質問は、更に深い部分にまで及んだ。


・・・ような気がする。
と言うのも、動揺が収まらず、頭の大部分が「鬱」についての考えを巡らし、ほんの片隅で先生の質問に答えていたので、上の空であった。
確か、「夫との関係」「娘達との関係」「趣味」などの質問もあったように思う。
今思えば、「夫との関係」も、決して問題が無い訳ではないが、その時の私は深く考える事もせず、「特に問題無し」と答えたように思う。

私の仕事についても尋ねられた。
私は子供の通信教育の添削の仕事と、趣味の延長でパン教室を開いている。
すると先生は「あなた、偉いねぇ」と仰った。
日頃褒められることの少ない主婦にとって、他人からのその言葉は、私の涙腺を緩ませた。
「忙しいお母さん達に代わって、丸付けしてあげているんだね。社会と関わっているじゃない。」
急にハラハラと涙が出て来た。
「鬱」と言われた緊張が、ほんの少し解けた気がした。
私にとって未知の「鬱病」という世界を進むには、この優しいトーンの声を持つ先生にお任せするしかないのだ、とぼんやり考えた。