7月24日に東京ドームで行われた都市対抗野球大会1回戦、日本製鉄瀬戸内×エイジェックの観戦記です。
2度目の都市対抗出場を北関東第1代表として勝ち取った新興企業チームのエイジェック。予選の勢いに乗って二大大会初勝利を狙います。
対するはチーム名が日本製鉄広畑から今年変更になった日本製紙瀬戸内。チーム名変更元年に5年ぶりの出場を勝ち取りました。過去には都市対抗を2度制した実績のある古豪が新興チームに挑みます。
<スタメン>
【先攻:日本製鉄瀬戸内】
①セカンド 市原
②ショート 川瀬(剛)
③サード 岡
④ファースト 花本【大阪ガスからの補強選手】
⑤DH 佐々木
⑥レフト 広田
⑦ライト 中井
⑧キャッチャー 福井
⑨センター 遠藤
先発ピッチャー 杉本
【後攻:エイジェック】
①DH 京橋
②セカンド 髙岡
③サード 樫村【日本製鉄鹿島からの補強選手】
④ファースト 内田
⑤ライト 草野
⑥ショート 野中【日立製作所からの補強選手】
⑦キャッチャー 岡島
⑧センター 片平
⑨レフト 石神
先発ピッチャー 河北
<試合概況>
先制したのは日本製鉄瀬戸内。エイジェック先発河北の制球難に付け込み、1死満塁のチャンスを作ると、ワイルドピッチでまずは先取点。
さらに2番川瀬(剛)の2点適時打が出て、河北をKOします。
さらにチャンスが続きましたが、エイジェック2番手川端(秀)に後続が抑えられ、この回3点どまりとなります。
その後も瀬戸内はエイジェック投手陣を相手に塁上に走者を出すものの、追加点を奪えず。一方、先発の杉本は緩急をつけた投球でエイジェック打線を5回まで無失点に抑えます。
しかし6回裏、エイジェックは先頭の髙岡が敵失で出塁すると、風向きが変わります。
2つの四球で1死満塁とすると、併殺崩れの間にまず1点を返すと、代打河原井が適時打を放ち1点差に。
瀬戸内ベンチはたまらずリリーフにパナソニックから補強のベテラン榎本を送りますが、エイジェックの勢いは止まらず、8番片平の適時打で同点に追いつきます。
さらに2死1・3塁の場面で9番石神のサードへのボテボテのゴロが悪送球を誘い、2点を追加し勝ち越し。
エイジェックが運営する栃木ゴールデンブレーブスのチャンステーマが流れる中、招待していたエイジェックが主催する中学硬式野球の出場チームの大声援で異様な雰囲気の中、一気呵成に逆転に成功します。
勢いに乗るエイジェックは7回にも2本のヒットと四球で無死満塁のチャンスを作りますが、このピンチを瀬戸内リリーフの神頭が三者連続三振で切り抜け、流れが再び瀬戸内に傾きます。
すると8回表、5回から力投を続けていたエイジェック3番手の茨城トヨペットからの補強選手中島に瀬戸内が攻めかかり、内野安打と2つの四死球で無死満塁のチャンスを作ります。
このピンチにエイジェックは4番手に金城を投入。
押し出しで1点は与えましたが、後続を断ちます。金城は9回も瀬戸内打線を三者凡退に抑え、リードを守り切りエイジェックが5-4で勝利し二大大会初勝利、栃木県勢としても1950年の古沢建設以来の勝利をあげました。
<注目選手など雑感>
エイジェックが「魔曲」に乗せられ大逆転で勝利を収めました。
若い選手が多い中、チームの中でも古株の選手が経験を活かしチームを引っ張りました。
8回の大ピンチでリリーフに立った5年目の金城は見事な火消しで勝利に貢献。北関東予選でも代表決定戦で完投勝利をマークしたチームの大黒柱がチームを勝利に導きました。
河北、補強選手の中島の2年目コンビが制球に苦しむ中、自分の投球をできたことはさすがのひとことです。
打線では1番の4年目の主将京橋が2安打と打線を牽引。
序盤打線が苦しんでいた瀬戸内先発の杉本相手に2本の内野安打でチャンスメイクし、斬り込み隊長の役目を果たしました。
また、3年目の河原井も代打できっちり適時打を放ち、逆転を呼びこみました。
66人の部員を抱える大所帯のチームは競争も激しく、少ないチャンスを活かす河原井のような選手が出てくるのはエイジェックを象徴するようなものですね。
そして何よりもチームを後押ししたのがエイジェックの応援団。
運営する栃木GBのチアチーム、埼玉武蔵HBのチアチームが駆け付け、中学硬式チームの声援も重なり6回の大逆転を呼び込みました。
エイジェックは2回戦で日本通運に敗れ、ベスト8はならず敗退。大卒2年目コンビ河北、中島がこの試合に続いて結果を出せなかったのが響きました。いずれも「素材型」「ロマン枠」的なにおいがしますが、果たしてドラフト指名があるでしょうか?
敗れた日本製鉄瀬戸内はチーム名変更後の初勝利を逆転で逃しました。エイジェック投手陣の制球難に2回こそ付け込んだものの以降は8回の押し出しの1点のみで15残塁。ノムさんの格言で言う「負けに不思議の負けなし」といった感じの試合でした。
しかしルーキーの中井が3安打、2年目の川瀬(剛)が1安打2四球2打点、犠打も決めるなど若手が結果を残したのは今後の好材料になりそうです。
予選ではベスト8に進出したNTT西日本や、昨秋の日本選手権王者大阪ガスも降しており、再び都市対抗の常連となり古豪復活を果たす礎は築けたのではないでしょうか?
日本製鉄瀬戸内030000010=4
エイジェック 00000500X=5
(日)杉本、榎本、神頭、藤野―福井、小出
(エ)河北、川端(秀)、中島、金城-岡島、田島
【勝利投手】中島
【敗戦投手】杉本
【二塁打】
(日)中井、広田
(エ)樫村