5月12日にさいたま市営大宮球場で行われたルートインBCリーグ公式戦、埼玉武蔵ヒートベアーズ×信濃グランセローズの観戦記です。
かつての「トレンディ・エース」西崎幸広監督の指揮のもと昨シーズンはBCリーグチャンピオンの座を掴み取った埼玉武蔵。連覇を狙う今季は現状借金生活とやや苦しい滑り出しとなっています。
対するは昨年は西地区をリーグトップの勝率で制したものの、チャンピオンシップで武蔵に敗れた信濃。今季はチーム打率3割越えの強力打線を武器に首位争い中です。
<スタメン>
【先攻:信濃GS】
①センター 馬場
②ショート 佐々木
③ライト 松井
④ファースト ジェス
⑤DH 滝野
⑥セカンド 和辻
⑦レフト 明新
⑧サード 沢津橋
⑨キャッチャー 田島
先発ピッチャー 山田
【後攻:埼玉武蔵HB】
①センター 伊藤(康)
②ショート 鳥居
③セカンド 根井
④キャッチャー 町田
⑤ライト 山本
⑥DH 本田
⑦レフト 古賀
⑧ファースト 市川
⑨サード 金井
先発ピッチャー 今村
<試合概況>
先制したのは武蔵。初回2死1塁の場面で4番の町田が高々と打ち上げたキャッチャーフライが強風に流され、ドカベンに登場する坂田三吉の「通天閣打法」のような形で無人の内野フィールドに落ちるラッキーなヒットでチャンスを広げます。
ここで5番の山本がショートへの内野安打を放ち1点を先制します。
しかし強打線の信濃は4回に武蔵先発の今村を捕らえます。1死1塁で5番の滝野が右中間を破る適時二塁打を放ち同点に。
四球でチャンスを広げると、7番明新がレフト線に適時二塁打を放ち2者を迎え入れ逆転に成功、この回さらに1点を加え4点のビッグイニングを作ります。
ところが武蔵も負けずにその裏、5番山本の適時打などで2点を返し1点差に詰め寄ります。
しかし信濃は攻撃の手をゆるめず5回表、2本のヒットと四球で2死満塁とすると、7番明新にレフトスタンドに運ぶグランドスラムが飛び出て4点を追加し突き放します。
武蔵はその裏、3番根井の適時二塁打が出て1点を返しますが明新のグランドスラムが大きくのしかかります。
試合はこのまま9回に進みます。
信濃は9回表、4番ジェスにレフト場外へ消える特大のソロ本塁打が出てダメ押し。
その裏武蔵も3番根井の2点適時打で反撃しますが及ばず。
点の取り合いは強力打線の信濃に軍配が上がり、9-6で勝利しました。
<注目選手など雑感>
信濃の強力打線が火を噴きました。
7番の明新は2本の長打で6打点の荒稼ぎ。
明治大出身の2年目の外野手。甲子園出場組の多い明治では珍しく、付属高の明大中野からの入学でリーグ戦のスタメンを勝ち取り優勝にも貢献し、卒業後あえて独立リーグの道を選んだ経歴を持つ選手。社会人に進んだ同期たちに負けずにNPBへの道を拓いてほしいですね。
ポテンシャルの高さを見せたのが1番の馬場。
この試合終了時点で打率.458、5本塁打、17打点とリーグ三冠を走るスラッガー。富士大4年生時の昨年は出場機会が少なかったですが、独立リーグの舞台で暴れまわってますね。この試合では逆方向に2本のヒットを放ちバッティングの柔軟性も見せ、1年でNPB入りを目指したいですね。
パワーでいったらこの人、4番のジェス。
本名「三浦ジェスヨロボ大颯」、飛龍高→敬愛大と進んできた大卒2年目のスラッガーはこの試合本塁打を含む3安打をマーク。本塁打は馬場に並ぶリーグ首位となる5号で強打の「一芸」を磨いていきたいところです。
敗れた武蔵は信濃に負けず11本のヒットを重ねましたが、投手陣が踏ん張れませんでした。
そんな中で3番の大卒3年目の根井が3安打3打点をマーク。
小柄ですがしぶとい打撃はこれも立派な一芸。大学、武蔵と先輩にあたる樋口正修に続いてNPBの舞台を目指したいところ。年齢的にもラストチャンスになりそうなシーズンですが、泥臭くアピールを続けてほしいです。
「ロマン砲」的な魅力を感じたのは高卒2年目の山本。
2本の適時打で2打点をマーク。体格にも恵まれており伸びしろも感じさせてくれる選手です。高卒1年目の昨年は.118と苦しみましたが、今季はこの時点で.270の打率と成長を見せています。若さが魅力なだけにこの選手もアピールを続けていけばチャンスが開けそうです。
信濃GS000440001=9
武蔵HB100210002=6
(信)山田、貫太朗、池田、福田、石本-田島
(武)今村、太田、石田、倉橋、大生―町田
【勝利投手】山田
【敗戦投手】今村
【本塁打】
(信)明新、ジェス
【二塁打】
(信)滝野、明新、沢津橋、松井、和辻
(武)根井、日高(響)