11月19日に明治神宮球場で行われた明治神宮野球大会高校の部準決勝、作新学院高×関東第一高の観戦記です。

2回戦で大阪桐蔭高を破った関東一高。この勢いで明治神宮枠を東京にもたらすことができるか?対するは関東王者の作新学院高。センバツ高校野球大会の関東・東京の最後の枠の判断基準にもなりそうな「真の関東王者」決定戦的なカードとなりました。

 

<スタメン>

【先攻:作新学院高】

①レフト 小森

②ファースト 粒良

③センター 小川(亜)

④セカンド 柳沼

⑤キャッチャー 岩出

⑥ライト 廣田

⑦サード 根本

⑧ショート 菊地

⑨ピッチャー 小池

【後攻:関東第一高】

①センター 飛田

②ライト 成井

③レフト 坂本

④サード 高橋

⑤キャッチャー 熊谷

⑥ファースト 越後

⑦ショート 市川

⑧セカンド 小島

⑨ピッチャー 石田

両校ともエースナンバーの投手はベンチスタート。番手の投手同士のマッチアップで継投勝負、どこでエースのカードを切るかがポイントになりそうです。

 

<試合概況>

試合は初回から動きます。1回裏作新は2本のヒットと死球で満塁とすると、6番廣田がセンター前にはじき返し2者を迎え入れ先制します。

しかし関東一高もその裏、1番飛田が内野安打で出塁すると、2番成井の犠打がエラーを誘い、さらに3番坂本のバントがバントヒットとなり無死満塁のチャンスを作ります。

ここで5番熊谷が犠飛を打ち上げ、1点を返します。

さらに作新バッテリーのバッテリーエラーで同点に追いつきます。

 

勢いに乗る関東一高は3回にも先頭の飛田のヒットを足掛かりに、2番成井、3番坂本が連続で絶妙なバントヒットを決め満塁とすると、4番高橋の2点適時二塁打、5番熊谷の2打席連続の犠飛で3点を加えリードを奪います。

関東一高は4回にも2番成井の適時打で1点を追加し、さらにリードを広げます。

3回からリリーフの関東一高2番手大後の前に無得点に抑えられていた作新打線ですが、6回に反撃。7番途中出場の菅谷、8番菊地の適時打で3点を返し、1点差に詰め寄ります。

作新は続く7回にも3番小川(亜)の適時打でついに同点に追いつき、さらに無死1・2塁とします。

ここで関東一高はエースナンバーを背負った坂井を投入。

坂井はこのピンチでの登板にも動じず4番柳沼、5番岩出、6番廣田を討ち取り、同点止まりにとどめます。

その裏、作新もエース、小川(哲)を投入。関東一高に傾きそうな流れを無失点で阻みます。

両エースの登板で決着はホームランでかなと筆者の頭の中で思った直後の8回表。作新はこの回先頭の菅谷がライトスタンドに飛び込む勝ち越し本塁打を放ちます。

さらにこの回、3番小川(亜)に適時内野安打が出て、リードを2点に広げます。

このリードを小川(哲)が守り切り、作新が逆転勝ちで決勝進出を決めました。

<注目選手など雑感>

点の奪い合いのシーソーゲームとなりましたが、作新が関東王者の実力を見せつけ勝利しました。

殊勲のヒーローは途中出場で適時打と決勝本塁打で2打点をマークした1年生の菅谷。

高校初本塁打が大舞台での決勝本塁打として出るあたり何か「持っている」選手かもしれません。がっちりした体格でスラッガーの資質がありそうです。

作新の中軸は1年生中心。2打点の3番小川(亜)に4番の柳沼も力があり、勢いに乗ると怖い打線になりそうです。

投手陣ではやはりエースの小川(哲)が評判通りの投球をみせました。

3イニングを被安打1の無失点で勝ち越しを呼び込んだのはまさにエースの働き。183㎝92㎏の堂々たる体躯から繰り出すボールにはまだまだ伸びそうな印象を受けました。

作新は決勝で惜しくも敗れ、明治神宮枠を関東にもたらすことはできませんでしたが、来春のセンバツでも優勝争いの中心になってきそうですね。

敗れた関東一高は投手陣が踏ん張り切れず、4点のリードを守り切れませんでした。

しかし大阪桐蔭を破った打線は力があることを実証。4番高橋、5番熊谷がそれぞれ2打点をマークし中軸の仕事を果たしました。

この中軸に繋ぐ1番飛田、2番成井、3番坂本の上位打線も出塁率が高く、成井、坂本の絶妙なバントも中軸の強打だけでない「嫌らしさ」を見せ、相手チームには脅威になりそうですね。

大阪桐蔭を降したことで実力は折り紙付き。冬場に鍛えて初の全国制覇を狙っていってほしいですね。

 

作新学院高200003120=8

関東第一高203100000=6

(作)小池、石毛、小川(哲)-岩出

(関)石田、大後、坂井ー熊谷

【勝利投手】小川(哲)

【敗戦投手】坂井

【本塁打】

(作)菅谷

【二塁打】

(関)高橋、越後