１１月１０日に明治安田生命グリーンランド野球場で行われた社会人野球オープン戦、明治安田生命×ＪＲ東日本の観戦記です。
日本選手権大会も終了し、今季の公式戦も一部ローカル大会を除いては終了した社会人野球界。チームによっては来季に向けて監督の退任、交代の報道も出ています。
２００５年に就任以来、ＪＲ東日本を都市対抗優勝１回、準優勝３回に導き多くのプロ選手を輩出した堀井哲也監督も退任し、母校の慶応大監督に就任することが決まりました。
後任には元ヘッドコーチの濵岡武明氏が就任することになりましたが、来年以降どういうチームになるのか？この試合は石川コーチをはじめ現コーチ陣が采配を振るっていました。
対するは同じ東京地区の明治安田生命。近年東京六大学出身者を積極的に採用しチーム強化を図っている印象を受けます。両チームとも秋の日本選手権の出場を逃しており、来季に向けて戦力の底上げを狙いたいところですね。
＜スタメン＞
⑨セカンド 新城
先発ピッチャー 玉熊(写真下)
この時期のオープン戦ながら両チームとも主力がスタメンに並びます。明治安田生命は早稲田２人、法政２人、明治１人、立教１人と六大学勢と中央出身３人と近年の積極補強を象徴するような布陣です。
先発ピッチャーは明治安田が大卒３年目の玉熊、一方のＪＲは高岡商時代に高校日本代表にも選出された高卒１年目左腕の山田というマッチアップになりました。
＜試合概況＞
高卒ルーキー山田に対し、明治安田打線が「社会人の洗礼」を浴びせます。２回裏１死後５番泉澤がレフトスタンドへのソロ本塁打を放ち先制します。
明治安田生命はさらにこの回、押し出しで１点を追加すると２番大東に２点適時打が出てこの回一挙４点のビッグイニングを作ります。
明治安田は５回にＪＲ２番手山口（裕）から２本の犠飛で２点を追加、さらに６回にはＪＲ３番手石井から大東がライトオーバーの本塁打を放ちリードを７点に広げます。
大きくリードを許したＪＲは打線もやや淡白な攻めで６回まで毎回のように走者を出しますが、２つの併殺などで無得点に封じられていましたが、７回表ようやく反撃。明治安田３番手小林を攻めヒット１本と２つの四死球で満塁とすると、９番山口（雄）がライトスタンドに叩き込む満塁本塁打を放ち、４点を返し追い上げます。
ＪＲは９回にも代打内野の二塁打を足がかりに無死１・３塁としますが、この場面でも併殺打の間に１点を返すにとどまり万事休す。点の取り合いとなった試合は序盤のリードに物を言わせた明治安田生命が逃げ切りました。
＜注目選手など雑感＞
明治安田の打線の活発さが印象に残りました。
先制本塁打の泉澤はもともとチームの中軸として機能している選手ですが、立教出身２年目の大東が３安打３打点と猛アピール。
立教時代はＯＢの長嶋茂雄氏が観戦した大学選手権決勝で本塁打を放った「持ってる男」。来季は早稲田から福岡が加入する予定とのことでポジション争いも激しくなりそうですが、勝負強い打撃でポジション確保したいですね。
投げては先発の玉熊、２番手の北濱が安定した投球を見せ来季への期待が膨らみますね。
２人とも六大学出身の近年の採用者たち。強豪揃う東京地区を勝ち抜くのには彼らの活躍がキーになりそうですね。
敗れたＪＲは投手陣が打ちこまれ、後手後手に回った印象ですね。エース太田がプロに進み、左腕伊藤、リリーフの西田に続く投手の台頭が望まれるところですが、この日登板した投手たちは常に走者を背負く苦しい内容でした。
期待の山田は社会人の洗礼を浴びた形になりましたが３回で４つの三振を奪い、素質の片りんは感じさせられました。
一方で４つの四死球を与えるなど制球にはまだまだ課題がありそうですが、伸びしろもたっぷりありそう。先述の太田も１年目はほとんど登板がなく、２年目のシーズンに飛躍をしただけに山田にも一冬越して来季の成長を期待したいと思います。
打線は中軸に元気がなかったのは気がかりですが、９番の山口（雄）が満塁弾を含む３安打と気を吐きました。
ＪＲの黄金時代には山口（雄）のようなつなぎのわき役が時折小力を見せ長打を飛ばし、勝利に貢献していましたので、山口（雄）にはその役割を担ってもらいたいなと思います。
両チームとも来季への課題がはっきり見える試合になりましたが、この冬で課題を克服して来季の活躍に期待したいですね。
ＪＲ東日本 ００００００４０１＝５
明治安田生命 ０４００２１００Ｘ＝７
（Ｊ）●山田、山口（裕）、石井、大出、吉永-渡辺、鈴木
（明）玉熊、○北濱、小林、上田、高橋-道端、森川
【本塁打】（Ｊ）山口（雄）
（明）泉澤、大東
【二塁打】（Ｊ）内野
（明）大東、大野、高瀬
