7月20日に広島県総合グランド野球場で行われた全国高校野球選手権広島大会の3回戦、高陽東高×如水館高の観戦記です。

迫田前監督の退任問題に伴い、当時のエースの退部などで激震がありながら春の県大会で広陵や広島新庄を降す快進撃で準優勝、中国大会でも1勝をあげ第1シードとして夏の大会に臨んだ如水館。2011年以来8年ぶりの甲子園を狙います。

対するは県立の雄、高陽東。ノーシードで臨む今大会ですが実力校だけに第1シードの如水館にとっては手強い相手になりそうです。

 

<スタメン>
【先攻:高陽東高】
①レフト 宮本
②センター 松下
③ピッチャー 上原(写真下)
④ショート 磯谷
⑤キャッチャー 別頭 

⑥サード 間瀬場

⑦ライト 吉田
⑧セカンド 名越
⑨ファースト 砂田
 

【後攻:如水館高】

①レフト 箱崎

②ファースト 松本

③センター 尾崎

④キャッチャー 山下

⑤ピッチャー 藤原(写真下)

⑥ライト 香本

⑦サード 井口

⑧ショート 小田(大)

⑨セカンド 吉岡

 

<試合概況>
小雨が降る中、両チームの激しい点の取り合いとなります。

2回表高陽東は1死後、5番別頭の打球はピッチャー藤原を強襲、藤原が一塁に送球しますが送球が逸れ、打者走者とファースト松本が交錯、松本は負傷交代してしまいます。

このプレーで藤原に動揺があったか、6番間瀬場の二塁打でピンチを広げると連続四球で押し出しによる先制点を与えてしまいます。

高陽東はさらに畳み掛け、9番砂田が2点適時打を放ちリードを3点に広げます。

しかし高陽東はその裏守備が乱れます。1死2塁の場面で6番香本のファーストゴロをファンブルしピンチを広げると、7番井口のスクイズをまたもやファーストがファンブル。

続く8番小田(大)のサードゴロも悪送球で2点目を与えてしまい、9番吉岡のスクイズで同点に追いつかれてしまいます。

追いつかれた高陽東は4回表、9番砂田の二塁打を足がかりに2死3塁とすると、2番松下のショートゴロが打球の緩さが功を奏し内野安打となり勝ち越しに成功します。

そして5回表、高陽東がビッグイニングを作ります。エラーと2つの四球で無死満塁とすると、7番吉田がライト前に落とす適時打を放ちまず1点、さらに打者走者吉田が1・2塁間で挟まれる間に判断よく2人目の走者が生還しリードを3点に広げます。

攻撃の手を緩めない高陽東は野選、暴投などでさらに3点を追加しリードを6点に広げます。

このまま高陽東ペースで試合が進むと思われましたが、さすが第1シードの如水館、その裏さっそく反撃に出ます。

2本のヒットを足がかりに1死2・3塁とすると3番尾崎の2点適時打、さらに5番藤原にも2点適時打が出て2点差に詰め寄ります。

7回にも併殺崩れの間に1点を加え、1点差に迫った如水館は最終回、先頭の箱崎がヒットで出塁し同点、逆転の足掛かりを作ります。

しかし続く代打大場の2球目に高陽東の捕手別頭の牽制で箱崎が刺され万事休す。最後は4番山下が内野ゴロに倒れ壮絶な点の取り合いは高陽東が逃げ切り、第1シードを降す金星を挙げました。

 

<注目選手など雑感>

小雨が降る中の試合で少なからず両チームの選手にも影響を及ぼしたことで両チーム合わせて5失策の点の奪い合いとなりましたが、高陽東が5回のビッグイニングで奪ったリードを守り切りました。

印象に残ったのはキャッチャーの別頭。

試合概況にも記した9回裏の牽制刺のビッグプレーに盗塁も一つ刺し、ピッチャーの上原を援護。打っても5番でフルスイングで2本のヒットを放ちました。

また2番の松下も2安打2打点に加え、守備でも如水館・藤原のセンターの頭を超すかという大きな打球をフェンスにぶつかりながら好捕するなどこちらも好守に存在感を示しました。

高陽東は6番の間瀬場も2本の二塁打を放ち、打線は活発。次戦以降も期待ができそうです。2005年以来14年ぶりの甲子園出場まで突っ走ることができるでしょうか?

敗れた如水館ですが、第1シードの意地と力は見せてくれたと思います。一時は最大6点あったビハインドをよく追い上げ接戦に持ち込んだと思います。3年生中心のメンバーで監督交代問題、エースの退部などの苦難を乗り越えて第1シードを勝ち取った粘り強さ、逆境の強さがこの試合に表れていたのではないでしょうか?

プロ注目のキャッチャー山下の他にも3安打の3番尾崎や4番手で3イニングを無失点に封じた橘高など力のある選手が多いので、大学や社会人など次のステージでも実力を発揮してもらいたいなと思います。

高陽東高030150000=9

如水館高030040100=8

(高)○上原-別頭

(如)藤原、●阿部、赤石、橘高-山下

【二塁打】(高)間瀬場×2、砂田、名越

      (如)藤原