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熊本県熊本市の熊本城公園内にある熊本県営の野球場です。単に藤崎台球場という通称で呼ばれています。
まずこの球場の最大の特徴として挙げられるのが外野スタンド裏手のバックスクリーン周辺に立つ7本のクスノキの巨樹群。
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大きいものは幹囲12m、樹高28m、樹齢約1000年で、全国のクスノキの中でも最大級で、小さいものでも幹囲7m、樹高20m、樹齢約400年。これだけの巨樹が群生しているのは珍しく、1924年12月には、国の天然記念物に指定されたそうです。
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かつて、この地には藤崎八幡宮がありましたが1877年の西南戦争でクスノキ群を残して社が焼失、その後藤崎八幡宮は別の場所に再建されると、この場所は軍用地として使用されていましたが、1960年の熊本国体に備えこの球場が建設され、以降高校野球や社会人野球などのアマチュア野球や、1972年にプロ野球公式戦が初めて開催されると年に数回のペースで公式戦も開催されています。
プロ野球の試合でも様々なエピソードがあり、1980年秋のジャイアンツ×タイガースのオープン戦ではこのシーズン限りで引退する王さんが現役最後のホームランを放ち、ダイヤモンドを一周すると巨人はもとより阪神の選手も全員が一礼して王を出迎え、挨拶するという光景が見られたそうです。また、1987年のジャイアンツ×ドラゴンズの公式戦では死球を受けたジャイアンツのクロマティが、ドラゴンズの投手宮下の顎に右ストレートパンチを叩き込む事件も発生しました。
グラウンド設備ですが両翼99.117m、中堅121.92mという国際試合開催規格およびプロ野球開催規格を満たす広いフィールドを有しています。この広さは1960年の開場以来のものでホームランの出にくい野球場として知られていました。
そんな中1981年の熊本県議会では本塁打への危機感を煽って好投手の育成につなげようという思惑とあいまってラッキーゾーン設置も検討されましたが、県外の野球関係者などから「日本には国際ルールに則した野球場が少なく、安易に狭くするべきではない」と批判が寄せられ、縮小は見送られたこともあったそうです。
照明設備に加え、スコアボードは2011年にフルカラーLED形式のものに改修され、プロ野球の常打ち球場に匹敵する設備を整えています。
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エントランスも近代的なデザインになっています。ここにも巨木があり、樹と融合した構造になっているのがこの球場らしいですね。
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スタンドはバックネット裏は背もたれなしのセパレート席、内野席は別構造になっています。スタンドの傾斜がちょっときついのが気になりました。
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さて、先述の外野後方のクスノキ群ですが球場建設時にはもともと神木として鎮守の森にあったため残されており、すでに天然記念物に指定されていたため伐採されることなく、外野スタンドはクスノキ群に接する形で配置され、根幹を保護するため根元の周囲にフェンスが設けられています。
左翼側に立つクスノキの枝はスタンド左中間上空を覆うように枝の一部がフィールド内に約1.5mせり出しています。
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しかし天然記念物に指定された樹木は許可なく剪定できないため、プロ野球公式戦では打球が枝や幹に接触してフィールドへ跳ね返った場合はボールインプレイ(試合続行球)として、打球が枝や幹に挟まった場合は本塁打として扱っているそうです。また高校野球公式戦では、打球が枝や幹に接触した場合は本塁打として扱っているとのことです。
球場周辺を巨樹に囲まれたほかの球場にはない特徴を持つ熊本県の野球のメッカは、クスノキたちに見守られながら今後も数々の名勝負の舞台になっていくことでしょうね。
 
【所在地】熊本県熊本市中央区宮内4-1
【球場データ】両翼:99.117m 中堅:121.92m 内野:土 外野:天然芝 スコアボード:電光掲示板 照明:あり 収容人員:24000人
【アクセス】熊本市電・蔚山町(うるさんまち)電停から徒歩約10分
 
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