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「坂の街」「映画の街」として知られる広島県尾道市の広島県立びんご運動公園内に2002年に開場した広島県所有の野球場です。
広島県東部地区のスポーツ・レクリエーションの需要に対応するため、1999年度からびんご運動公園内で野球場の整備事業が着手され、その際「他にはない、特徴ある野球場を」というアイディアが挙がり、さらに広島県高等学校野球連盟からも「高校野球の広島県勢はここ数年、甲子園での戦績が芳しくなく、競技力を長期的に底上げしたい」との要望が寄せられたため、野球場のフィールド部分は阪神甲子園球場をモデルに設計されることになったそうです。
設計に当たり広島県は甲子園球場に職員を派遣して視察を行ったものの、フィールド内の測量に関しては球場関係者から箇所を限定され、また平面図についても警備上の理由により借り出すことができなかったため、設計に充分な実寸法を弾き出すことができなかったそうです。やむを得ず、甲子園に関する資料や航空写真などを使ってフィールドを解析し、詳細な実寸法を弾き出しました。余談ですがその結果、当時甲子園のフィールドは一塁側のファウルエリアが、三塁側よりもごく僅かに広かったことが判明したそうです。(また2008年の甲子園球場の改修時にフィールドの広さも再計測の結果両翼:95m、中堅:118mに訂正されました)
このような苦労の末、球場は2002年に竣工し本塁から両翼・中堅までの距離やグラウンド面積などだけでなく、外野のフェンス高、使用する土・芝まで、可能な限り甲子園に近づけられて設計されたため、「クローン甲子園」などと揶揄されるほどに。ただし当時の甲子園の公称値に誤りがあったため、実際の甲子園とは細部で異なっており、また本家甲子園が2007年から2008年にかけてフィールドの改修を行いファウルグラウンドが狭められましたが、しまなみ球場では現在のところ、この改修に追随する予定はないそうです。
球場の愛称の「しまなみ球場」は一般公募により命名され、瀬戸内海の島並み、更に尾道は西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の起点部にあたることに由来しているそうです。
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球場設備は先述の通り甲子園球場を模して造られたため、フィールドの広さは甲子園球場とほぼ同じで、照明設備と電光掲示のスコアボードなど充実した設備を誇っています。
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観客席も充実しており、バックネット裏の座席は背もたれ付きのセパレート席、内野スタンドはベンチシートですが外野スタンドの芝生席の上にはなぜか背もたれセパレート式の座席が設置されています。この外野芝生席の上に座席があるのはドーム化される前の「西武ライオンズ球場」を思わせ、西武沿線で育った筆者にはなんとなく懐かしい印象を受けました。
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開場以来、高校野球などのアマチュア野球の公式戦やセパ交流戦の時期にカープ主催の公式戦などが開催されています。また、2013年以降はマツダスタジアムの管理が広島東洋カープとなったことにより、同球団の主催ゲームの日程や、全面天然芝となったことによる芝生管理などとの兼ね合いで同球場の使用に制約が生じたことより高校野球広島大会の準決勝以降が行われるようになり、広島県の高校野球のメイン会場になっています。また、先述の通り甲子園を模した球場であるため甲子園出場校がプレ甲子園として練習に使うこともあるようです。
唯一のネックは交通アクセス。尾道の市街からやや離れた丘の上に位置しているため、最寄駅からはバスでのアクセスになります。徒歩でのアクセスを試みる猛者もいるようですが、行きは登り坂になるので注意が必要。高校野球開催時やプロ野球開催時は臨時バスも出るようですが、マイカーでの来場者も多く渋滞が発生することもあるようなので時間に余裕を持ったスケジュールは必要になりそうです。
 
【所在地】広島県尾道市栗原町997
【球場データ】両翼:96m 中堅:120m 内野:土 外野:天然芝 スコアボード:電光掲示板 照明:あり 収容人員:16000人
【アクセス】JR尾道駅・新尾道駅よりおのみちバス・中国バス「びんご運動公園北門」行で終点下車
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