東洋美人 純米吟醸611
原料米 611番地の山田錦100% 精米50% 端麗且豊潤(冷えで)
日本酒度+5.0 酸度1.5 Alc15.8
先日紹介した 澄川氏がフランスの醸造家から薫陶を受け醸した
「437」「372」シリーズ 其々栽培する酒米産地の住所を冠した銘柄だ
私個人は春先等の暖かい季節に最初 若しくは2番目に提供する
おすすめの銘柄として愛飲させて貰っている
程よい旨(あま)味 切れ味良い酸味と残り薫が魚介と相性が良く
洒落たラベルもまた常連さんに受けが良い
「辛口の澄川」からまた一つ 進化した印象の有る逸品だ
酒屋八兵衛 無ろ過生原酒
三重県 多岐郡 元坂酒造「酒屋八兵衛 特別純米酒(うぶな酒)」
原料米 麹米山田錦 掛米 五百万石 精米50%
日本酒度+5.0 酸度1.7 Alc15.0~16.0
「ちょっとうぶな酒 今宵あんたを酔わせたい」と洒落た片掛けが
一昨年2月 当店で関西の酒販店さんと蔵元交流会をした時に
初めて発表された云わば“燗向き”で醸された銘柄
温度帯を1度ずつ検証し 結果ぬる燗で映える という印象が多数だった
温める事で柔らかい旨味が増し するすると飲みすぎてしまいそうな(笑)
正に女性向きを意識した燗酒だろうか
無ろ過原酒らしからぬ円やかさ しかしぼやけては無く 芯が有る
淡白な魚介の塩焼きと取り併せたい 食中酒だ
越前岬 特別純米(合鴨農法米)
福井県 吉田郡永平寺 田邊酒造「越前岬 特別純米 合鴨農法米」
原料米 福井産合鴨農法栽培米山田錦 精米60%
仕込水 白山水系 使用酵母 協会1401号
日本酒度+3.0 酸度1.8 Alc15.0~16.0
田邊酒造HP
先日 田邊さんとお会いした時 いち押しでお勧めされ購入した銘柄だが
一言で 燗にして抜群に映える印象だろうか 冷や(常温)でも滑らかだ
山田錦への印象がまた一つ広がった感が 優しくそれで芯が有り
最近出会った食中酒の中では5本の指に入る
燗栄えする銘柄は良く頂くのだが これはそれらとは一線を画す
熟成感なのか そう思えるほど繊細な造りだ
※特別純米-参照(酒税法に拠る清酒の定義、表示方法 )
※合鴨農法-参照(合鴨“あいがも”農法 )
柳陰(やなぎかけ)
先日 久しぶりに来られていたお酒大好きなK大学の教授方との話の中
「“やなぎかけ”って知ってます?」と振られたが 初めて聞くその言葉に
戸惑っていると(笑)以前飛騨に出張の際 飲んだ事があるとの事。
日本酒と味醂の境目のような印象・・・という事だが 味醂の一種だろうか?
とある岐阜の清酒蔵が味醂も製造する事は知っていたが 教授の話では
“柳陰”の名前は落語の噺「青菜」より由来しているとか。早速調べてみた
内容は大旦那が仕事に来た植木屋を労い 酒と飯を勧める事がテーマの噺で
その中で、当時夏場の旬料理として鯉の洗いが出てくる。ごっそう(ご馳走)
や!と喜ぶ植木屋へ、更に大旦那が井戸で冷やした”やなぎかげ”を勧める
更に青菜を食べさそうとするのだが 生憎青菜を切らしその時に奥方と交わした
“九郎判官義経”に例えた粋なやりとりに関心した植木屋は早速家に帰り客を
呼んで 自分の奥方そのやりとりを再現しようとするのだが…
とまあ解り易く 粋な内容の上方ネタだ。そして…
柳陰は昔から愛飲されてきた“お酒”の一種で当時作られていた焼酎に味醂を
添加した物の総称だった様で 銘柄名でなく製造手法(ジャンル)だという事
京阪(関西)では柳陰(やなぎかけ)と呼称されていたのに対し江戸(関東)では
“本直し”という名で一般庶民の夏の冷たい飲物として普及していたとか
その頃から日本版「リキュール」として認識されていたのかな?
料理に用いる味醂とは別に飲用されていた事に正直 驚きだった
当時の焼酎と言えば“粕取”で味醂で程よい甘さを付け 井戸の中で冷たくし
喉越しのよい夏向きの飲料とし清酒のような醸造酒には無い楽しみ方だったのかも。
酒税法では清酒と同等のアルコールを含有する「本味醂」等の販売酒は
免許が必要で それが無い一般スーパー等では売る事が許可出来なかった
それ故 広く普及せず一部限定の物として今に至るのかも知れない 無粋な話だ
近年 幾つかの蔵元さんが復刻版を出されている事もあり
機会があれば是非 賞味させて貰いたい
最近 取り扱った清酒で“柳陰”に近い感じといえば…
また後日 改めて紹介したいと
滋賀県 上原酒造「不老泉3年熟成原酒」
越前岬大吟醸 波涛(はとう)
福井県 田邊酒造「波涛 大吟醸 特別限定酒」
蔵元HP http://www.echizenmisaki.com/
「全米日本酒歓評会 金賞受賞酒」大吟醸古酒(原酒を熟成)斗瓶取り
予約のみの終了限定酒 よってスペックは不確定
Alc度数17.0~18.0 精米歩合35% 山田錦100%使用
この蔵元の主力銘柄「越前岬」の最高峰 いわゆる“フラッグシップモデル”だ
昔から大変お世話になっている福井の名士A様が福井に帰郷の折
偶然お会いになった蔵元。 元々奥様の同級生だった繋がりがこのお酒との出会いを
私に巡り合せてくれた。
以前 勝浦に出向いて本くえを獲得した話の折お裾分け?の変わりでは無いが
そのご縁で頂戴した。先ず 私の様な者へのお気遣いに感謝だ
A社長と2人で “越前岬”を頂きながら 普段「吟醸」は好きではないが
このお酒は先入観抜きで“別格”だと 確かに言われる通りかも。
鍛え抜かれた古の名刀の如く切れ味では日本の酒で適う銘柄は少ないかも
冷やかなれど漲る酒の真の力 清涼ながら芳醇な味わいが終いまで余韻を奏でている
「品評会」使用の為 僅かながらアルコールを添加し残念ながら世界最高峰の水準には
準えないが 正しく今まで頂いた清酒の中では指折りの逸品かと思う
残念ながら 値段が見合わず 賞味期限も短いという事で当店で提供するのは難しそうだ
このお酒に出会う事でまた 新たな視点が垣間見える
やはり酒は「人の作りしもの」だと再認識し そんな思いをたゆらせながら…