しらうお (で掻き寄せ揚げ)
この素材も春を代表する 昔懐かし宍道湖の“七珍”を彷彿する人は
かなりの食通と言って良いだろう
山陰 松江 宍道湖産「しらうお
」
「シロウオ
」とは生態や姿がよく似ており 料理法もほぼ同じ為 混同され易いが
シロウオはスズキ目ハゼ科で分類上は全く別の魚である。区別点は
・シラウオの口はとがっていて、体型がくさび形をしている
・シラウオのうきぶくろはシロウオほどはっきり見えない。
・シラウオには「あぶらびれ」(背びれの後ろにある小さな丸いひれ)がある
これは鮎やししゃも、わかさぎ等と近縁であることを示す
古来より沿岸域へ産卵に集まる頃の成魚が食用に漁獲され、早春の味覚として
知られる。かつては全国で漁獲されたが、現在では漁獲が東日本に偏っている
シロウオは生かした状態で出回るが、シラウオはシロウオほど死後の味の低下が
極端でないとされ、締めた状態で出回ることが多い。料理は天婦羅、卵とじ、
吸い物などで、料理屋では高級食材として扱われる
今回は“掻き寄せ揚げ”を作って見た
料理屋では献立に「かき揚げ」と書かれるが本来は「掻き寄せ揚げ」
この掻揚げにも料理屋の定義がある… まあ作り方を撮ってみたので
材料を切り揃える 金時人参 筍 南京 三つ葉(葉 軸) 椎茸 しらうお
具材は出来る限り同じ大きさである事が望ましい マッチ棒に準える
少し大きめのボールでまんべん無く材料を混ぜ合わせ薄力粉“等”を
さっくりとあわす 裏漉しした卵黄を入れ全体に絡ませる
材料に最低限の衣が纏わり付くような感じがベストだ
天婦羅の衣とは要領が違う ここが“掻き寄せ揚げ”たる所以
写真のお玉は2セキ(大匙2杯分)と小さいものを使う 具材がまんべんなく
入る様 寄せ合わせそのまま油(170℃)でカラリと揚げる
この作り方だと卵黄含有率が高い分 油の劣化が早いので
写真のような少し色褪せた“2番油”で揚げた方が良い
油をしっかりときって器に盛る 塩で提供するのがベストだ
春野菜としらうおの持つ甘さを充分にまで堪能出来る
先程 記述した“定義”と言うほど堅いものではないが 留意点として
・切り出さず 一口大で食する事が出来る大きさで揚げる事
・衣は材料にぎりぎり纏わり付く位 “サクッ”では無く“カリッ”が理想だ
私が掻揚げに玉葱を敢えて入れない理由もある
材料が水気を多分に含んでいる事 甘味が強すぎて他の素材の旨味を
損なう恐れがある事 まあ其々人の好みだが これは自分の考えとして。
掻揚げはバリエーションに富み 小海老 三つ葉などでもっと衣を
固目に仕上げ 〆の食事に“天茶”で提供する裏メニューもあったりする
生の鮮度が良い物は旬期が非常に短く 料理屋泣かせの素材とも
いえるこの“しらうお” しかし仄かな甘味は食通にはたまらない逸品だ