餡麩三喜羅(あんぷさんきら)
尾張地方で昔から食されてきた"麩"を活用し 愛知の老舗大口屋が試行錯誤を重ね 昭和48年(1973)に販売した銘菓 可愛い柏餅の見立てに生麩独特の滑らかな喉越しとこし餡の上品な甘みが重なったハイセンスな和菓子です
麩は小麦粉に含まれるタンパク質のグルテンを取り出したもの "餡麩三喜羅"はその中でも良質の生麩を使用しています 気温や湿度の影響を受けやすい生麩を職人の技と勘で丁寧に加熱し 仕上げることで滑らかでこしのある独特の食感を生み出しています
生餡(小豆を煮て水気を絞ったもの)に砂糖を直接加え練り上げる従来の方法とは違い 砂糖を加熱して蜜にしてから生餡に加えています これは茶席菓子などの高級菓子に用いられる手法で これにより"餡麩三喜羅"独特のさっぱりとした上品な甘さをつくり出しています
"餡麩三喜羅"を包んでいるのは "山帰来"(別名サルトリイバラ)と呼ばれるユリ科の植物の葉 この山帰来の葉を塩漬けにすることで 程良い塩味と葉の香りが饅頭本体に移り味に深みを加えています