雪花菜(きらず)/卯の花 | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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おから 

大豆から豆腐を製造する過程で豆乳を絞った際に出る搾りかす 食物繊維を多く含む事で古くは江戸時代から食用とされてきましたが 現在は品質劣化が早く日持ちしないため需要が少なくなっています 

 

名前は絞りかすを意味する“から”が由来 茶殻の“がら”等と同源の“から”に丁寧語の“御”をつけたもので 女房言葉のひとつとして伝承されています “から”は“空(から)”に通じるとして忌避され 日本料理の世界では縁起を担ぎ様々な呼び名に言い換えされています 

 

見た目が白い事から“卯の花(うのはな/主に関東) 包丁で切らずに食べられることから“雪花菜(きらず/主に関西や東北)などと呼ばれています 献立では“おから”自体も“雪花菜”の字をあてる料理屋さんが多いようです 寄席芸人の世界でも“おから”が空の客席を連想させるとして嫌われ 炒り付けるように料理することから“おおいり/大入り”と言い換えられていました 

 
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豆乳を搾った後の残渣物ですが栄養的に優れている素材 一般分析値を見れば乾物中の成分は粗蛋白質が約26%/粗脂肪は約13%/可溶無窒素物が約33%/粗繊維が約15%と栄養価が非常に高い事が伺えます 市販では水分を約75%~80%含ませた状態で流通されています 含まれている粗脂肪(油分)の約50%は不飽和脂肪酸のリノール酸 またおからには脳の記憶力を高めるホスファチジルコリン(レシチン)が豊富に含まれています 

 
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豆腐製造の過程で出来るおからは繊維の荒さが幾段階かあり 料理屋が用いるのはきめ細やかで白色の“上おから” 他にも獣肉を下処理する際に用いる“鬼(皮)おから”などがあります 

 

おからを入手後 半日程水でさらし その後水気をしっかり搾り取り加味/調理していきます 通年入手できる素材ですが 日本料理の世界では“仲冬”の季語を指すとされ 冬の料理に定義されています
 
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