千島笹
(チシマササ Sasa kurilensis) 兵庫県養父市/氷ノ山
イネ科/タケ亜科ササ属に分類される大型笹の一種で 稈の基部が弓状に曲がっていることから“ネマガリダケ(根曲がり竹)”の名で呼称されています 山地に群生し背丈1.5~3㍍の大型笹種で 稈上部でのみ枝分かれするのが特長です 笹の仲間では最も北部に分布し主な分布域は朝鮮半島/日本列島(四国愛媛県-本州鳥取県以北の日本海側及び東北地方/北海道)/千島列島南部/樺太(サハリン)です
薩摩藩支配下にあった琉球王国経由で 移入された孟宗筍が全国規模で普及する明治期以前-江戸後期まで 千島笹(根曲がり竹)は日本を代表する竹/笹類でした 現在も国内に数多の亜種が現存していますが それらを総称して“根曲がり竹”と呼称する地域が多い様です
千島笹の筍“根曲がり竹”は5月中旬から6月に採集出来 山菜の中では希少種として重宝されています 旧暦(太陽暦)で5月~6月は夏季にあたり 伝統的に根曲がり竹は夏の食べ物でした 分布域が南北に長いため 各地独特の呼称があり 北海道では“蝦夷根曲がり竹” 東北-中部地域では“高麗竹/朝日竹” 丹後-大山地域では“姫竹/スズコ”などの名称で親しまれています
若い筍でも収穫してから2~3時間で硬化するため 収穫後すぐ火にかけて戻すのが最善です 皮付きで“素焼き”か写真の様に下処理して“天婦羅”で頂くのが食べ方の代表例です 芯部はビタミンKなど多分に含み 笹葉は抗菌作用があるため子供の日に食す粽(ちまき)や 富山の名産“鱒寿司”の包装に用いられます