「子供達に食の教育を」TED公演 Jamie Oliver | 侘寂伝文(わさびやブログ)

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先日 拝聴したJamie Oliver(ジェイミー・オリバー)氏のTEDプレゼンテーション 彼のプレゼン題目は「Teach every child about food(子供達に食の教育を)」 とても興味深く観覧させて頂きました 
オリバー氏はイギリスでレストランを営む家に生まれ 若くして数件の店でシェフ(料理長)を努めた事 TVに出演したり著書を出したりなどでも米国では有名な“カリスマシェフ”なのだとか 
私は彼の著書に触れた事はありませんし 勿論どんな料理をされるのか詳しい知識もありません ただ今回のプレゼンで同業者として学んだ事はあり 日本も“他山の石”ではない事を強く認識しました 
 
(参照)ジェイミー・オリバー「子供たちに食の教育を」TED Prize受賞講演(英語原文) 
 
プレゼンの内容を大まかに和訳すると 「アメリカの食生活はこのままでは危険だ」という視点から 彼が実際アメリカの中で最も肥満率が高く食生活の悪循環なウェスト・ヴァージニア州/ハンティントンで行った“肥満撲滅プロジェクト”での体験記をもとに アメリカ全土の食生活に対する無知が生んだ惨状 食生活がアメリカ全土の死因Top3でありながら国政が伴なっていない現状 子孫代々で食生活への怠慢が子孫の寿命を縮めている事などを列挙し これからどうすればその問題は解決出来るのか-という括りでした 
 
英語でのプレゼンですから日本人の私達が聞くと 少し大げさに聞こえたり誇張する素振りが多々あったり…と躊躇される方も多いと思われますが 大きな意味で彼の意見は的を得ていると同時に 「これは近い未来の日本ではないのか?」と他人事ならぬ危機感を憶えました 
 
 
Jamie Oliver's TED Prize wish: Teach every child about food 
 
日本は世界に類を見ないグルメ大国として広く認知され 世界中から美食を求めるグルメ達が集う事も周知です 最近ではユネスコで和食が無形文化財に登録されるなど 顕著化は進む反面 実際日本人が口にする“食”は本来の姿とはかなり乖離した現状である事に触れる記事は殆ど見当たりません 
 
オリバー氏が提唱していた[スーパーマーケット][学校給食][家庭料理]三角形の話も 日本で実際家庭料理が母から子へ受け継がれているか? 学校給食は成長期の子供に栄養共に満たされた内容か? スーパーマーケットなど食品販売も見た目や産地に特化したものばかりで人間にとって良いものなのか?と比喩しても とてもアメリカの食事情を笑える現状ではありません 
 
ファーストフード依存による内臓疾患も 長引くデフレ現象に伴う食材の質低下 加えて日本が先の話ですが今はやりの“ラーメン”は近い将来日本人にとって食害になる事は紛れも無い事実です
本当に体にとって大切な食の知識や食の作法は 現代の人にとってはとても地味でつまらないものにしか見えていません 
   
対してTVなどで放映される流行や風潮には異様にびき易い-「皆が食べてるから」「今流行ってるから」という理由だけで 我先にとこぞって行列を成す日本独特の“ムラ思考”は 長年培われてきた日本の食文化に大きな影を落としている事実がありながら 殆どの当人達には認知されていません 
 
重ねて料理を作る立場にある人間がそのような認識を持って行動しているか?というと これも悲しい現実“売れ筋/利便性”に依存し食の本質を見失っている料理人だらけな由々しき現象です 
オリバー氏のプレゼン表現が少々派手目でありも これ位の表現力で訴え続け行動を重ねていかないと 本当の意味で食は人を“殺める手段”にすらしてしまう現実を悲しく思います 
 
食を頂く側も提供する側も 感謝の気持ちを失った顛末が現在の“食文化”の実態なのかと悲観しつつも 私達の子供や孫にしっかりと本来の食を伝える事の大切さを再認識させられました