その白亜のお城は
13歳だった私の住む街の駅の上に
通学時の朝陽を浴びてそびえ立ち
いつも眺めてくれていた
モデルをやっていた時には
その偉大さを垣間見れた。
全モデルの憧れ
特にフレッシュな初々しさを放つ
新人モデルにとって
彼女のウェディングドレスを着て
大きな舞台に立つことは
一流モデルへの登竜門だった
私はウェディングドレスではなかったが
辛うじて彼女のフロアショーに出て
目前でお会いすることが叶ったのは
確か25年くらい前
私の大学の先輩が
その白亜のお城に
デザイナーとして勤務しているのを
知ったのは、そのだいぶ後だった
そして、そのご縁で
最近、「メタランウェイプロジェクト」で
彼女のパリコレクション出展ドレスの
4D撮影にて一緒に仕事をさせていただき
いや、ご厚情、ご協賛をいただいたと
言った方が正しいのかもしれない
そう、先日
お誕生日の2日後に94歳で亡くなられた
桂 由美 先生
実は、違うプロジェクトでも
ご一緒させていただく予定で
色々と進めていたが叶えられず
残念に思っていた最中だったが
桂先生の後を継がれた先輩によると
本当に安らかなお顔で
静かにその日を迎えたそうだ。
前日までお元気だったらしい
現に3月5日には
「Beyond 60years Yumi Katsura
Grand Collection in Tokyo」を
恵比寿ガーデンホールにて開催され
車椅子でのご登場だったものの
本当に矍鑠と舞台上で
お話をされていたばかりだったから。
来年の60周年を目の前に
心残りはお有りかもしれないが
本当にレジェンドとなられた方だった。
桂 先生のお母様が
あの白亜のお城の元地主さんへ
土地を売って欲しいと
直談判に行かれていたと
楽しそうに語る笑顔が
今でも浮かんでくる。
60年、一つのことを続けられ
常に新しいことへ挑戦される
そんな女性に
いえ、そんな女帝に
私もなりたい
なれるかな…
桂 由美 先生の
ご冥福をお祈りいたします。