高速バスは安価な為、若者を中心に利用が堅調です。




特に寝ている間に移動できる夜行バスは安価なだけでなく、寝ている間に移動できる手段としてはほぼ唯一の存在なので、絶対的な存在感があります。



自分も若い頃は往復夜行バスで旅行をしましたが、やはり寝る環境としては狭いし、腰に負担がかかるので、今は乗ったとしても帰りだけでしょうか。


行きに乗ったら睡眠不足で確実に観光を楽しめないでしょう。




そんな高速バスですが、名前は路線バスよりは早く着く、高速度で走るということから来ているのですが、今や高速道路を使うバスを高速バスと呼んだりします。


愛知県にはありませんが、福岡県には路線バスで都市高速を走る路線が複数あります。


路線バスは乗客はシートベルト着用なし、立ち乗りOKという特別措置のバスです。


それって普通なんですけど、実は特別措置なんですよね。


しかしながら高速バスは座席定員を上回る乗車はNGだったり、必ずシートベルト着用を呼びかけることが求められていたりと、都市高速を走る路線バスはこういった高速道路ルールをどうしているのでしょうか?



国土交通省に届け出を出すときにOKを貰っているから違法ではないのですが、条件があります。


まず、運行区間の半分以下であること。


これを超えると高速バス扱いになるのでしょうね。


そして速度は60キロ以下で走ること。


これは西鉄バスでも専用車両を用いているようですが、都市高速で60キロを超えないようにする為だと思われます。


しかし、調べてみたら都市高速の制限速度は60キロです。


一般道と同じで、一部区間のみ限定80キロになっています。


なので都市高速という名の有料道路ではありますが、最高速度は殆どが一般道並なんですね。


これは福岡に限らず、他の都市の都市高速も基本は60キロで、一部のみ80キロ制限になっています。


何なら30キロ制限も存在します。




高速バスに戻りまして、高速バスもまたルールがあります。


まずは運行前に天候や運行会社都合で運休になったら無手数料で全額払い戻しとなり、代替ルートの確保は不要です。


夜行バスでそうなったら実質夜明けまでどうすることも出来ませんが、それでもOKとなります。


また、ルート上の高速道路が事故で長時間通行止めとなった場合も運休となる可能性があります。


こちらはケースバイケースで、例えばその区間だけ下道を走ったりして、遅延到着する場合もあります。


ちなみにどれだけ遅延しても目的地まで送り届けさえすれば、返金対象にはなりません。


突発的な事故で通行止めになり、SAで待機して12時間遅延しようとも運びさえすれば許されます。


これは高速バスの運賃が鉄道の特急料金ではなく、鉄道の運賃と同じで、あくまで目的地に安全に送る為の金額であり、定時性に対する料金は含まれていないからです。


極端な話、バス会社がケチって、急遽高速道路を使わずに全区間下道で走ったとしても、返金して貰えません。


その遅延は故意なので、炎上はするでしょうが、法的にはセーフです。


ちなみに運行後に車両トラブルや事故に巻き込まれて運休になった場合は、完全にケースバイケースです。


最寄りのSAまで移動して、そこにバス会社がタクシーを呼んで、最寄り駅までタクシーで運ぶ、後は自腹で、というパターンや、代走バスがいくまで待たされるパターン、事故現場で下ろされて返金パターンという最悪のパターンもあります。


ちなみに最後のは高速道路上に歩行でしか移動できない乗客を置き去りにしたということで、バス会社が処分を受けているので、巡り合うことはないかと思いますが。




高速バスは安価な分、バス運転士の負担も大きく、事故の度に大きな規制が行われてきました。


夜行バスは400km、昼間のバスなら500kmを超える運行の場合は運転士二人でなければいけません。


二人とも起きている会社もありますが、今は仮眠室付きバスもあり、多くは片方が仮眠室にいて、片方が運転し、途中休憩のSAPAで交代という形ではないでしょうか。


ちなみにこの仮眠室は必ず車外からも車内からも入れるようになっています。


これもルールで決まっており、例えば走行中に車内でトラブルがあった際は、運転士は運転を続けて、仮眠室の乗務員がトラブル対応を行います。



バスに乗った際に見てほしいのが窓です。


最近のバスは窓が開きません。


そもそも高速道路では窓を開けるのはNGなので、高速バスの窓が開かなくなってきています。


空調もしっかりしていますしね。


でも窓を開閉できないといけないバスがあります。


それは補助席がついているバスです。


補助席を使うと通路が塞がれて、事故の場合に乗降扉や非常口(必ず右側にある)に辿り着けません。


その為、実際に補助席を使っていなかったとしても、補助席を装備しているバスは窓が開閉できるようになっていて、事故の際はそこから出てね、となっています。


観光バスとかはガイドさんが座る補助席があるので、窓開閉が基本だったりしますね。




高速バスのルールも厳しくなっていますが、バスに搭載される安全装置も義務化されてきています。


車線逸脱防止センサーや速度制限装置、アンチブレーキシステム等、今の最新高速バスはそこらの乗用車より安全性が高いです。


お値段も高いので、価格的な問題で大衆車にはオプションでも装備されないんだろうな、という安全装置もあります。


衝突軽減ブレーキやドラレコも義務化されています。


義務ではありませんが、居眠り検知や蛇行運転検知機能もあり、自動消火装置や運転士の脈拍を計測して突発的な病気による意識喪失にも安全にブレーキがかかる機能もあります。




昭和の頃の夜行バスは今よりもルールが緩かったこともあり、非常に柔軟性に富んでいました。


例えば、東京駅-大阪駅を走る夜行バス。


繁忙期には続行便を出していました。


予めの時刻表では22時台に10分おき発車とかなんですね。


だから6本しか走らないのか、と時刻表を見ると思うわけですが、バスターミナルに行くと、0分発車が満員になりしだい定刻前に発車し、続行便がやってきます。


そうして次々に続行便がやってきて、このバスが何分発なのかわからない状態になるわけです。


何せピークには1時間で20本運行したそうです。


東京駅-大阪駅の便だけでこの本数は凄いです。


しかもみんなが同じPASAで休憩したら混雑が偏るので、続行便は異なるPASAに寄るのですが、どこで休むかは運転士任せ。


つまり、あれお前もここなの?と続行便が同じPASAに連なることもあったかもしれません。



更にこの続行便も柔軟性に富んでいます。


続行便用バスを20台配車したけれど、東京駅-大阪駅便は10台で済んじゃった。


あ、東京駅-京都便や東京駅-名古屋便、東京駅-神戸便に続行欲しいからこっちに回して、とバスターミナルで急遽行き先変更なんてことも。


京都や名古屋はまだ大阪までの途中だからルート上と言えますが、神戸となると大阪-神戸はどう行けばわからないので、その場で定時便の神戸便の運転士からルートを教えて貰ったりしたそうです。


勿論今はこんなこと出来ません。


予め運行ルート、代替ルート、休憩場所、所要時間を決めて届け出を出さないといけません。


まだ大きな事故が起きていない時代だったからこそであり、また夜行バスに指定席が少なかった時代だからこそでもあります。


まぁリクライニングなしのバスだから自由席料金じゃないと割高かも。