心理カウンセラー・公認心理師の
栗林あや(いがぐりこ)です。
人からの親切を、心のどこかで疑ってしまうことはありませんか?
「その親切は本物なのか?」
「裏があるんじゃないか?」
そんなふうに不安になって、なかなか好意を受け取れない・・・。
このような気持ちは、実はけっこう多くの人が感じていることかもしれません。
親切を受け入れることは、時に勇気が要ることです。
でも、それができた時、人生はもっと豊かになるのです。
他人からの親切を疑ってしまう根底には、過去の経験や、自信の無さが隠れていることが多いです。
誰かを信じたのに裏切られた経験、受け入れられなかった恐怖。
そんな過去のつらかった出来事が、現在の人間関係に影を落としているのかもしれません。
でも、だからと言って、過去の経験に縛られて現在を生きるのは、あまりにも惜しいことです。
周りの人からの親切を素直に受け入れるための第一歩は、
自分と他人との境界を理解することから始まります。
他人の親切を疑ってしまう心理には、「自分と他人との境界線があいまい」であることが隠れています。
つまり、「あの人の親切を受け入れてしまったら、この先、自分の感情や考えがあの人に影響されてしまうんじゃないか。」と、心のどこかで不安になっているのです。
誰かの好意を受け取ったら、「その人が望んんでいる私」にならなければいけないような気がして、勝手にプレッシャーを背負ってしまうことがあります。
そんな不安がある時、まずは、自分と他人は別個の存在であることを意識することが大切です。
他人との境界がはっきりしていれば、他人の言動に振り回されすぎずに、
自分自身の本当の気持ちを大切にして、行動できるようになります。
自分と他人は別個の存在だし、他人の行動が、自分の価値を決めるわけではありません。
次に、自己肯定感を深めることです。
自分自身を認めて、自分に優しくすること。
これは親切を受け入れるためだけでなく、自分の心の平穏にも繋がります。
自分自身を信じることで、他人の親切も自然と受け入れやすくなるのです。
また、小さな信頼関係をコツコツ築くことも大切です。
信頼は一気に出来上がるものではありません。
日常生活での小さな親切な行動から、少しずつ信頼を育てていくことができます。
例えば、誰かが道を譲ってくれた時、その行為に「ありがとう」と、感謝の気持ちを表すこと。
同僚がコーヒーをくれたら、「わあ!うれしい!」と、その優しさを心から受け入れること。
ひとつひとつの行動は小さいですが、周りの人との間に、信頼を築く大切な一歩となります。
他人の親切を疑う心は、もともとは、私たちを危険から守るためのものかもしれませんが、
それに囚われ過ぎると新しい関係や可能性を見失ってしまいます。
慣れない人には勇気がいることですが、親切を受け入れることで、開かれる新しい世界があります。
今日から、他人の親切を受け入れる、小さな一歩を踏み出してみませんか?
何度も繰り返して抜け出せない悩みに