不謹慎な嫁

栗林あや（いがぐりこ）です。

今週から、舅の入院する病院が、また面会中止になった。

感染症の患者数が増えているからだろう。

感染症予防対策で院内全面、面会禁止。

大きな声では言えないけど、

面会中止の措置に、わたしはほっと一安心した。

「これで、毎日姑を舅の病院に送迎しなくて済む・・・。」

ええ。

心の中でそんなことを思っている、悪い嫁です。

そんなとき。

旦那の弟の奥さんのSちゃんが
どうやら、入院中の舅あてに
お見舞いのお菓子を宅配便で送ったらしい。

自分と子供たちのお手紙付きで。

病院は、入院患者への

そういった宅配便受け取りのサービスはしていない。

今日、姑宛に、病院から注意の電話が入った。

「うちの病院では、こういうことは規則で禁止されています。」

どちらにしろ、舅はまだ食事を満足にとれないから、
送られたお菓子はもちろん食べられない。

食べられないけど、

面会禁止でだれもお菓子を確認に行かれない。

舅は看護師さんに
「食えないから皆で食べてくりょ」と
Sちゃんから届いたお菓子を渡そうとしたらしい。

病院としては、そういった
患者からの金品の授受も禁止されている。

結局、姑はその電話で病院から

・患者宛の荷物の送付は困る
・お菓子は規則で受け取れない
・ご親族の皆さんにもお伝えください

と注意を受けていた。

姑は、「お菓子はそちらで処分してください。もしよかったら、みなさんで食べてください。」そう言っていた。

まあ、今回はこのような状況なんだから、取りにも行けないし、

ほっといても腐るだろうし、

本来の規則ではダメだろうが、そうするしかないんだろう。

今回は看護師さんがお菓子を受け取ってくれたらしい。

「なんて迷惑な話なんだろう・・・」
「Sちゃんたら、ほんと余計なことをする人だな・・・」

と私は思ったが、

姑も、その後姑と電話で話していた舅も、
この件に関して、とてもうれしそうだった。

「Sちゃんたら～。まあ！気を遣って送ってくれてねえ。」

「Sちゃんの住む都会の病院では、そういう荷物受け取りのサービスがあるんだろうね。」って。

姑は電話で舅とうれしそうに話していた。

その後、Sちゃんから、
「しらなくてごめんなさい」的な電話が入って、
姑はますます嬉しそうだった。

姑：「だからね、看護婦さんたちでお菓子は食べてください、って言ったの。Sちゃんったらもう～。お手紙もついていたんだって。」

姑は、親戚仲間に今日のこのハプニングを

電話で楽しそうに話していた。

はいはい。ハイハイ。

私が「やったー！面会禁止だぜい！」

そんなふうに不謹慎に喜んでいる間、

弟の奥さんのSちゃんは、

ちょっとでも舅に元気になってもらえるように、とお手紙まで添えて、

病院に菓子折を送っていた。

あはは・・・・・
なにこの雲泥の差。

育ちに雲泥の差。
マインドに雲泥の差。

優しさに雲泥の差。
気配りに雲泥の差。

わたし、トップオブ不謹慎。
Sちゃん、トップオブ気配り上手。

仕方ない。
思いつかない。

わたしは「面会禁止」と聞いて、
自分の送迎の手間が省けたことしか、目に入ってなかった。

Sちゃんのようにそんな贈り物をするとか、
病院の都合とか舅の都合とか考えず
「優しさの押し売り」をするだなんて、頭にもなかった。

でも、舅と姑はそれを「優しさの押し売り」とは捉えず
「Sちゃんはほほえましい、自慢できること」として捉えているようだった。

Sちゃんの「優しさの押し売り」を、ありがたいものだとして受け取ったのだろう。

・・・・ケッ・・・・。

さて。

またこの辺でも、コロナの患者数が増えて、
地域の中枢病院であるこの病院はベッドを空けなければならないらしい。

舅も今週か来週くらいに、
転院になりそうだ。

前回は、転院した翌日に
状態悪化でまたこの病院に戻ってきたので、
今回はスムーズにいくと良いけど・・・。

って・・・・