少し前に読んだ、土井選手の著作の内容がとても良かったので、そのまとめとマラソントレーニングへの応用について、思う所をまとめました。
「敗北のない競技 僕の見たサイクルロードレース」東京書籍
「土井雪広の世界で戦うためのロードバイク・トレーニング」東京書籍

■序: 土井雪広選手と所属チームについて
土井選手は、現在は現役を引退していますが、現役時は、欧州のレースシーンで活躍し、3大グランツールの一つ、スペイン一周(ヴェルタ・エスパーニャ)を日本人で最初に完走しています。
「スキル・シマノ」という欧州の有力チームに所属していたものの、シマノの名のとおり、言わば"日本資本入りの"チームでした。有体に言うと「バリバリの欧州プロ+経験・力量に劣る日本人」というチーム編成の中、土井選手はお荷物状態から、実力を付けて、レギュラークラスにのし上がりました。ちなみに、欧州の自転車の世界は、欧州サッカーのそれと似ており、いわば、ベンチ外からスタメンを勝ち取ったと言えるでしょう。
当時、スキル・シマノのトレーニング・コーチは「マライン・ゼーマン」という方で、土井選手も指導を受けていました。
今年のツール・ド・フランスは、終盤までオランダの「ユンボ・ヴィスマ」が首位を張っており、あと一息で総合優勝を逃したのですが、そのユンボ・ヴィスマのスポーツ・ディレクターこそ「マライン・ゼーマン」なのです(有能なトレーナーとして彼ものし上がっていたのです)。

https://twitter.com/merijnzeeman
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ここから、ようやく本題です。
章立ては以下のとおり。
(1)土井選手のトレーニング理論
⇒「トレーニングは階段」「負荷をデジタルに管理」
(2)マラソントレーニングとの共通点
⇒高負荷メニュー(インターバル,LT,レース)とつなぎ・休養
(3)私が受けた刺激
⇒ポイント練習の組み立てに自信。トレーニングは未だマンネリ化せず新鮮に楽しめる
(1)土井選手のトレーニング理論
・トレーニングの構造
土井選手は「トレーニングとは階段を一歩一歩上るようなもの」ととらえています。
とても分かりやすいです。
一段階レベル(階段)を上げるには経験上約40日必要で、これを一つの期分け(クール)としています。
この期分けの中に、「高負荷の個別メニューと休養」(セッション)が含まれます。
・上記の階段とクール、セッションのイメージ図
出典:土井雪広(2015)「土井雪広の世界で戦うためのロードバイク・トレーニング」東京書籍
・レベルアップのための負荷・休養の適切なバランス
各セッションはTSS(※)という単位で数値化され、コーチ(マライン)によって管理されます。
要はドラゴンボールのスカウターよろしく、ダメージをデジタルに数字で表すのです。
トレーニングストレススコア® (TSS)とは、トレーニングにより身体にかかった負荷量を数値化したものです。
TSS®は標準化パワー® (NP)、強度係数® (IF)と走行時間によって計算されます。
TSS®を知ることで、体が回復するにはどれくらいの期間が必要かなどの目安を確認することができます。
TSS®のスコア基準:
・150以下 – 次の日には回復します(低い)
・150から300 – 次の日まで疲れが残りますが、翌々日には回復します(中)
・300から450 – 二日後も疲れが残る可能性があります (高い)
・450以上 – 回復には数日かかります (非常に高い)
TSS700を積上げることを1セッションとします。
プロは4日でTSS700を積むそうです。
一般レーサーの場合、1週間でTSS700としても十分強くなれるそうです。
そして、TSSは強度×時間で決まります。
プロチームは、このTSSの管理が厳格かつ絶妙で、コーチはオーバートレーニングや故障に陥る寸前のぎりぎりの線を見極めて、選手に指示を出すことで、レベルを引き上げ、ピークを作っていくそうです。
トレーニング強度、休養、回復・・・食事・睡眠など適切な環境が整ったことで、土井選手はメキメキ力を付けます。
土井選手も著作で「ある程度健康な肉体があれば、環境さえ整えばそこそこのレベルに達しうる」と言います。
また、土井選手によると、体幹、筋力の強化が不可欠とのことで、自転車を漕ぐ際には「大きな筋肉を使うことを意識する」ようです。
同じ、有酸素・持久系スポーツだから似ているのは当たり前という話かもしれませんが・・・
(マラソンではVDOTでレベルを数値化かも)
①ポイント練習の類似(インターバル,LT,ロング)
②数日単位の成果把握(マラソン:週単位,自転車:セッション単位)
③ピークの作り方(期分け)
①ポイント練習の類似について
正直、自転車のトレーニングはあまり知ることが無かったです。
土井選手や高岡氏の著作をみると
・インターバル:m回×n分走
(例:全力で3分漕ぐ、これを10回)
・LT走:乳酸が出ないぎりぎりの閾値を攻める
・ペース走:維持可能なペースで一定時間走る
・・・
ほぼ、マラソントレーニングと似通っています。
なお、土井選手も高岡氏も「時間」が基準と述べています。
(100kmなどといった距離ではない)
②数日単位の成果把握について
多くの市民ランナーは「ポイント練習」を週に2、3回入れていると思いますが、「ポイント練習+つなぎジョグ/休養」のサイクルが、自転車トレーニングでいうセッションかと。
私が行ってきた小出監督メニュー、ダニエルズやアドバンスト、Hansonsも、各ポイント練習の負荷を見定めて組んでいます(例:インターバルの回復には3日必要など)
ランニングは個人差が大きく、負荷が大きすぎたり、少なすぎたり・・・デジタルにとらえるには難しいですが、まぁ、似ていますね。
ちなみに、海外含め、ほとんどのマラソンメニューが週単位で構成され、海外選手のトレーニングログも週単位でつづられているので、私もそれに倣っています。
(月単位では振り返るには長すぎる)
③ピークの作り方について
自転車のプロレーサーも、年がら年中トップコンディションを維持するわけもなく、目標のレースを設定し、その目標レースに向けて、各クール毎にテーマを定め、ピークコンディションを作るそうです。
要は「期分け」そのものかと。
欧州では、シーズンが始まるとレースが頻繁にあり、いわばレースは実践期として川内選手のように「レースを生かしたトレーニング」を行うことが多いそうです。
(プロなので、勝利を狙うケースも当然あり)
今まで取り組んできたトレーニング教本から、土井選手の著作にあるようトレーニングと、およそ似たマラソントレーニングを実施していました。
・数か月単位の構造的なトレーニングメニュー
・ポイント練習はインターバル、LT、ペース走、ロング走の組み合わせ・・セッションの積み上げ
・フルの前にハーフを数本走り、ピークコンディションを作る・・・期分け
土井選手の言う「適切な環境で、適切にトレーニングを積めれば、確実に強くなる」という言葉は何か自信になります。
当たり前といえば当たり前ですが、世界は違えども、強くなるプロセスは同じ道筋かと。
また、今期取り組んでいる「時間を基準としたポイント練習」は、他の人がさほどやっていないので、少し自信になりました。
(例:5×1000mインターバルではなく、5×4分、6×3分とするもの)
40歳でランニングを再開して、今年で7年目。
毎年少しずつ、トレーニングに新しい試みを入れています。
新しいトレーニングメニューに取り組む際には「どんな効果・成果につながるのだろう」と新鮮な気持ちになります。
春先から取り組んだ「FAST 5K」、そして自転車の世界の先端的なトレーニング・・・
いまだにトレーニングに対する興味が尽きることはないです。
まぁ、ある意味、良きマラソンライフを送っていると言えるでしょう(自画自賛)。
***(英語学習の一環で簡単な英作文をするようにしています。違和感などがあれば、ご指摘いただけると助かります)***
If we want to get better at something, we have to practice or train that specifically.
One of the keys for success in marathon training is to utilize aHeart Rate Monitor.
We can create your zones off of percentages of the max.
Zone 1 is 60 to 78%
Zone 2 is 79% to 84%
Zone 3 is 85% to 88%
Zone 4 is 89% to 92%
Zone 5 is 93%+
There are many great workouts based on heart rate.
By utilizing HR zone training, we can guide ourselves properly for the designed workout without knowing paces.
It will also help us gather personal information in terms of fatigue and fitness levels.
In terms of accuracy, I now use the chest strap HR monitor, which is more accurate than the wrist monitor.