IFRSでは、有形固定資産の範囲を以下の通り定めています(IAS16「有形固定資産」)。


有形固定資産とは、次の基準を満たす有形の資産を言う。

・財貨の生産又は役務の提供に使用する目的、外部へ賃貸する目的又は管理する目的で企業が保有するもの

・かつ、1会計期間を超えて使用すると予想されるもの



また、以下のような例示を挙げています。


(1)1会計期間を超えて使用すると予測される主要交換部品及び予備器具は、有形固定資産の基準を満たす。同様に、ある有形固定資産に関連してのみ使用される交換部品及び保守危惧は、有形固定資産に該当する。


(2)本基準は認識を行う際の単位は定めていない。従って、企業特有の状況に認識基準を適用するには判断が要求される。鋳型や工具及び金型のように、個々では重要ではない項目を集計し、その総額について当該基準を適用することが適切な場合がある。


(3)有形固定資産には、安全あるいは環境保全の目的で取得された資産も含む。これらは、直接経済的便益を増加させるものではないが、他の資産が経済的便益を得るために必要なものであるためである。



上記に関して、一部補足します。


(1)有形固定資産に係る主要交換部品、予備器具の内、現状貯蔵品等で計上している企業様もいると思います。その中でも重要性の高い物は、固定資産として組み入れ、減価償却する必要があります。

また、主要交換部品等は棚卸資産ではないので、IFRSでは貯蔵品としての計上が認めらません(「棚卸資産の範囲 」参照)。他の適当な勘定科目での計上が必要です。


(3)環境保全基準を順守する目的で保有する資産が挙げられます。例えば、廃水処理装置、化学処理装置、樹木等が考えられます。



日本においては税法で1取得20万円以上(少額資産は10万円以上)と定められており、これに従って処理している企業様がほとんどです。しかしIFRSにはこのような金額基準がありませんので、企業特有の状況に合わせて、認識基準を適用する判断が要求されます。



トモ