On nOthing  -239ページ目

短編小説  Wonderful One Wonder 9

コンビニで缶コーヒーを買って外に出る。

外は今にも雨が降り出しそうな気配で、良い事はひとつも無いように思えた。

あの男の子は今何処で何をしてるのだろうか?

コンビニの外で缶コーヒーを飲む。

心を少しだけ落ち着かせてくれる。

先生の最後の言葉。

あの子に十分に届いたのかな。

あの子はどう思っているのだろうか。

それが気になって仕方がなくなった。

暫くして前を向くとさっきの女の子がまだそこにいた事に気づいた。

崩折れるように座り込んだまま動かなくなっていた。

見かねて、側に行こうと思ったところ、さっきの男の子が来て、優しく抱きしめた。

私は缶コーヒーを一気に飲み干し、ゴミ箱にそれを入れ、駅にむかった。

向かえた。

雨がポツリと降ってきた。

きっとなんとかなる。

いままでもやってきた訳だし。

犬が死んだ時。

先生が死んだ時。

家を出た時。

子供を流産してしまった時も。

今も胸が痛くて仕方がない。

気にしない様に気にしない様にすればするほど、余計に心の奥で疼いている。

口では平気だと言うけれどやはりずっとそれはついてくる。

彼だって平気なふりをしているが、時々一人泣いているのを知っている。

でも時々、立てなくなりそうになる。

大丈夫だろうか。


彼は先に駅にいた。傘を持ってきていてくれた。

「お疲れ」いつも通りの表情だった。

「うん」彼は私の顔を一寸眺めにみた。泣いたのがばれたかもしれない。

「そしたら、いきますか」

「だね。お腹ペコペコだよ」

「俺も腹へってんだよね」とお腹を鳴らしてみせたから、思わず笑う。

「すごいね。それどうやんの?」二人で笑った。

少し歩き、馴染みの居酒屋に入った。

 



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