思い付いて、強引な日程で札幌を訪れてから、何時の間にか時間が経ってしまった…「転勤族で、現在は札幌在住の友人を誘って…」と夕刻に立ち寄ったのは、札幌都心では旧くからの商業地区である大通の南側の商店街にあるロシア料理店である…実際には友人が業務繁忙で、一人で静かに訪れたのだが…
開店してからどの位の年月が経つのか…創業者の奥様であるママさんと料理人で切り盛りしている小ぶりな店で、旧ソ連全域に縁の様々なものがさりげなく散らばる、適当に枯れた店内で彼の地の様々な料理や酒が愉しめるという場である…一人で行っても、何人かで行っても、それなりに好い雰囲気だ!!
“ロシア料理”などという些か変わったもの…そういうものに関して、“愛情”というのか、何らかの“想い”を持つ人が、地道に店を切り盛りして、一寸変ったものが好きな人達に供し続けるというのでもなければ、なかなか根付くものではない…デパートの“○○物産展”のように、一定期間そういうものを供したからといって、時々立ち寄ろうという人が増える訳でもなく、地域に根付く訳でもない…この店は、「ロシアの料理や、彼の地の文物に関する話題を肴に…」などと旧くからの商店街を行き交う人々と共に、何十年かで様変わりしている街を見詰めてきたのだ…
“プロフ”というのは、ピラフである…中央アジアに起源を持つもので、ロシアなどで「メインディッシュの付け合せ」的に、肉や魚の皿の端に盛られている場合もある…そういうものだが“飯もの”が好きな私は、これがあるというと、何か確りと食べたくなる…私は“2人前”を皿に持ってもらい、「夜行列車で移動する前の腹ごしらえ…」を楽しませてもらった…
中央アジア…イスラム教の国々だ…そうした国々では羊肉や鶏肉がポピュラーな訳だが、プロフの具もそうした肉だ…この店では羊を使っていた…そして適当に胡椒が利いたピラフになる…綺麗に平らげた…
“メイン”ということにさせていただいたプロフも良いが、付け合せのザク切の野菜にはサワークリームが適量かけられていて、ロシアなど「彼の地の流儀」になっていた。これも良かった!!
週の真ん中の祝日で、必ずしもこうした店が賑わう状況でもなかった筈が、どうしたものか混み合っていたので、料理を待つ間にビールをもらって1本いただいた…
この“バルティカ”という銘柄は、バルト海に開かれたロシアの港町にして、ロマノフ帝政の都でもあったサンクトペテルブルグの産である。幾つか種類があるのだが、「一人でゆったりと1本空けよう…」というのであれば、しっとりした黒ビールが好い!!英国のパブで“スタウト”と称している、ゆったりと空けるタイプのビールに通じるものがある!!
様々な地域の文物が交差していく中で、“ロシア料理”と称する定番料理も形成されてきた…街角の小さな枯れた店が、そうした広い世界に通じる…なかなか浪漫的ではなかろうか…