そんなに語られることないですが、VOPO'Sはオランダのバンド。一般的には、70'sスタイルのパンクからハードコアを経て最終的にメタルになったと思われているかもしれませんけど、個人的にはそうは思いません。2000年以降の再結成については、あまり知らないからというだけで特に否定的な意味もなく無視するのを許してもらうとして、当時1983年までに3枚のリリースがありますから、聴きなおしてみることにします。
前提として一応触れておくと、VOPO(ヴォポ)というのはフォルクス・ポリツァイ、東ドイツ時代の人民警察のことです。そういう名前を付けるのは、元々がそういう志向だったということかもしれませんが、1981年リリースのファーストアルバム、DEAD ENTERTAINMENTは確かに初期ハードコア的なサウンドです。ちょっとミリタリー調だし、上記のジャケもなんだかポリティカルな味わいがありますが、英語の歌詞は微笑ましいほどシンプルだったりして、ジャケで想像されるような反米的な感じでもない。すごくいいのに、なんか名盤になり切れない要素もあり、それゆえに愛すべき1枚ではないでしょうか。このアルバムがピンとこない人には縁のないバンドなのかな、と。
1曲目、全然違う姿をしてるので気が付かないのですが、まさかの13TH FLOOR ELEVATORSのカヴァー、歴史的名盤ファーストアルバムの1曲目を自分たちの最初のアルバムの冒頭でもやってしまうという大胆さなのですが、全く原曲をとどめていない。ただ、この世界でよくある、原曲を破壊してやれ、みたいな悪意は感じないので、おそらくやっているうちに自分たちのスタイルになっていって、別の曲になってしまった、というような感じに思えます。誰の手柄かわからなくなってしまったけど、インサートにはちゃんとRocky Ericksonって書いてあるのが清々しいですね。歌詞を書き替えたらオリジナル曲だって言ってもわからないのにね。原曲とは関係なくとても良い別の曲。他にもちょいちょい良い曲があるのですが、全体としてはやや冗長で間延びした内容にも感じられるので、そのあたりが名盤になり切れないところ。音も全体としてこじんまりした仕上がりで、全ての音が近くで鳴っているので、小さな音で聴いていると全くライヴ感がなくなってしまいますから、無理して大き目の音で再生すると良いかもしれません。
大抵はラベルに45回転と書いてありますけど、それは真っ赤な嘘で、実際は33回転です。修正されて33回転表記になっているものもあるようです。少なくとも2回はプレスされているということでしょうね。
次に、1983年のセカンドアルバム、CONQUERがこれ。問題のやつ。
当時日本ではB級メタルとして紹介されて酷評されたようなものだったと思います。B!誌がレヴュー欄でよくそんなのやってたのはご存じかもしれませんが、ジャケがBC級メタルのひどいテイストなのと、バンド側も音楽的に確かにちょっとそっち側に寄せているところはありますから、仕方ないと思いますけど、1983年と言えばMETALLICAだとファーストの年ですから、これをメタルだと言い張るのは少し無理がある。そもそも冷静に聴けばハードコアにしか聴こえませんし。前作のドライな音から、ちょっと残響多めのサウンドに変わって、ジャーマンHCにあるようなウェットなメロディの楽曲が増えた感じ。そんなこと当時言われてもわからなかったと思いますから、もしもこれから聴く人がいれば、そんなつもりで聴いてもらえると結構良いアルバムです。ベースだったTheoがドラムになっているのかな。なぜか過去のドラマーと比べて一番上手い。ギターと兄弟ですよね、たぶん。
最後、順番的には戻りますけど、アルバム前の有名な最初の7インチ。1980年リリースとか言われますけど、ジャケにもラベルにも書いてないです。
これは名盤として有名なので、まあ良いでしょう。ショボいけど太い音で、この手の名盤に良くあるやつ。パンクは音が悪いくらいがカッコイイという意見がありますが、こういうのを”悪い音”と言っているなら、そうなんだけど、私はこういうプリミティヴな音が悪い音だとは思えない。ちゃんとオリジナルで聴くと生々しい音です。もしもアルバム1枚ずっとこんなサウンドで通して聴かせてくれたら、もうそれでいいんですけどね。大抵のバンドは次にアルバム出すくらいになってると成長してしまうのです。
ということで、3枚通して聴いてみました。あまりディスコグラフィ的なことやると真面目になってしまうので、雑に書きましたが、いつか誰かの参考にでもなれば良いかな、ということにしておきます。


