(ネタバレあっても許してね)
*休暇で訪れたとある湖畔のホテルで名探偵・明智小五郎は、美しい富豪の娘・玉村妙子と知り合いになる。その妙子の叔父・福田宛に送られてきた謎の数字。不吉なものを感じた福田は警視庁の波越警部に身辺警護を依頼するが、事件性のなさを理由に断られてしまう。まだまだ命の洗濯としゃれ込みたかった明智だったが、「妙子さんが手伝ってほしいと言っている」との波越警部の言葉を受け帰京するも、上野駅で何者かによって拉致されてしまう。その日の深夜、どこからともなく聞こえてくる怪しい笛の音。そして福田は自室で首と胴体が切り離された無残な死体となって発見される。一方、囚われの身となった明智は監禁場所で奥村源造という謎の男と出会う。彼は「オクムラ魔術団」という一座の団長であり、父親を惨い方法で殺されていた。そして50年にもわたって温めてきた復讐計画を実行に移し、その手始めに福田を殺したという。その計画を成功させるためには、明智小五郎は邪魔な存在だったのだ。全てが終わるまで大人しくしていてほしいという奥村に、明智は「必ず脱出する」と宣言。奥村の娘・綾子の助力を得て脱出を試みるのだが・・・果たして明智の運命は?
「氷柱の美女」放送から約4ヶ月半を経て、昭和53年1月7日に放送された美女シリーズ第2弾が「江戸川乱歩の魔術師より 浴室の美女」でした。
「美女」玉村妙子を演じるのは夏樹陽子さん、タイトルバックから早くも入浴シーンというサービスで、視聴者のお父様方を楽しませてくれます。
夏樹さんは「エマニエルの美女 江戸川乱歩の化人幻戯」、「妖しいメロディの美女 江戸川乱歩の仮面の恐怖王」でも美女役として登場されます。
そしてもう1人の「美女」綾子役に高橋洋子さん、くれぐれも言っておきますが「エヴァンゲリオン」のテーマ曲「残酷な天使のテーゼ」を歌っている方とは同姓同名ですが別人でございます。
このWヒロインだけでも十分なところですが、他にも魅力的な役者さんたちが脇を固めていらっしゃいます。
中でも個人的に目を引くのが、妙子の弟・一郎役の志垣太郎さん。
屋敷にある大時計の長針で首を切断されそうになり、気を失った時のあの表情は秀逸ものでした。
佐野周二さん演じる玉村はリアルに
さらに「魔術師」奥村役の西村晃さんの何とまあ楽しそうなこと!
2代目黄門様の時のような好々爺とはまた違った冷酷非情な男の姿、そう言う役どころだったせいかお顔もクールに感じられました。
そして忘れちゃいけないあのお方、そう我らがアイドル(?)波越警部!
北大路版美女シリーズの坂上二郎さんもいいけれど、明智小五郎=天知茂と同じで波越警部=荒井注ですよね。
「浴室~」でシリーズ初登場となった波越警部ですが、明智が殺されたという記者会見で涙を見せながら自分のハンカチで鼻をかんだり、自分と明智の(頭の出来の)違いを「月とすっぽん、太陽とナメクジ」に例えてみたり、玉村家の護衛中に出されたケーキをパクパク食って、その食いかけをスーツのポケットに入れたりと素敵なシーンのオンパレード!
もちろん物語自体も面白く、福田の死体に撒かれたり妙子が襲われた浴室の浴槽に浮かぶ菊の花の舞台演出、どんなことをしてでも復讐を遂げようとする奥村の執念、そしてラストで明かされる妙子と綾子の「出生の秘密」がファンの目を引き付けてくれます。
それにしても明智さん、「氷柱~」の時もそうでしたけど美女に簡単に心を奪われてやしませんか?