小さい頃。
父や母、保育園の友だちや先生、
銭湯で会うときまってアイスをくれるおばあちゃん、
無口な八百屋のお兄ちゃん、お向かいの家で飼っていた犬のゴマも、みんな、みーんな。
自分以外の人間は、生き物は、本当は人形で、
私の視界に入っていない時は、倉庫にしまってあるのだ、と本気で思っていた時期があった。
随分と思いやりのない、自分勝手な発想だけど、
子供なりに日々を生きる為に考えていたんだと思う。
カーテンの隙間から洩れる光の中を舞う、塵と埃の美しさや、
土壁のきらきらや、夜お布団から手足を出すと幽霊に触られると思って汗をかきながら寝たことや。
なんか、そういう感覚を忘れたくないな、って思います。