読み過ぎて角が丸くなった葉書きが、
大好きだった本の、大好きだったページに挟まっていた。
懐かしくて、思わず目を細める。
あの日、受け取った葉書きを、失くさないように
机の引き出しにしまおうとして、止めた。
一緒にいた時間が、もう、思い出に、過去に、変わりはじめている事が、恐かった。
そして自分がそれを、自然に、当たり前のように受け止めている事が、悲しくて。
さよならの前日に、離れていても友達だよね、って泣き笑いのあの娘に
私も同じ気持ちだよ、忘れないよ、って、その葉書きをしばらく、しおり代わりに使ってた。
でも、やっぱり、約束の文通も、毎週日曜日に遊ぶ約束も、続かなくて、
今何をしているのかもね、もう、知らないの。
友情だけじゃない。
固く誓って、心を重ねて、愛を確かめ合う。
そこに嘘が入り込む隙間なんてなくて、みんな永遠を望むのに。
人は人生で何度恋をするんだろう。何度人を愛するんだろう。何度その痛みを繰り返すんだろう。
ひとりだけに何度も恋をし続けろ、とか、そういうんじゃない。
人は、「今」を刻む場所で、愛を育む。
このどうしようもない切なさが、私には、重い。
全部嘘だったら、まだ救われるけど、全部、本当だからやりきれない。
種が蒔かれた場所で花を咲かせるように、
人間の、与えられた場所に適応していく「能力」って、すごい。
それが、人の、弱さ、なのか、強さなのか、
私は、まだ幼すぎて分からないけど。
儚い。